◯はじめに
こんにちは。
愛媛県西条市でいしだ鍼灸整骨院を開業しています、院長の石田将太郎(いしだしょうたろう)です。
この度のブログでは、首の痛みを改善しようとした50代女性の新規患者さんの経験談を一部紹介しています。
経緯やエピソードそのままの内容も含めています(本人様からのご承諾も頂いております)。
内容自体は、正直生々しさもあり、気を悪くされる方もおられるかもしれません。
ですが、もしかしたらどなたにも起こりえるアクシデントだったりするので、
ちょっとした注意喚起の意味合いも込めてシェアさせていただきます。
ブログの後半には、自宅でできる肩こり・首の痛みの解消法、セルフ肩甲骨はがしについても触れていますので、
ぜひ最後までご覧ください。
◯肩甲骨はがしで?背中を痛めた50代女性のお話
※先にお断りしておきますが、当院では「肩甲骨はがし」はおこなっておりません。
巷では、「筋膜(きんまく)剥(は)がし」や「癒着(ゆちゃく)剥がし」といった言葉が時折流行りますが、
実はどれも、チェーンのマッサージ店や無資格者が経営する整体院が作ったキャッチフレーズ的なもののようです。
そして最近流行の〇〇剥がしが「肩甲骨はがし」のようです。
実はつい先日、背中を痛めてご来院になられた初診患者さん(50代女性)からこのようなお話を伺いました。
「首の痛みが辛くて、近くの整体院に行ったら『肩甲骨の動きを良くすると治りますよ』と言われて、
肩甲骨はがしをすすめてもらって何もわからずに受けたんです」
「確かに首は少し楽になったように思ったんです。ところが、翌日から背中が痛くてたまらないんです」
そのようにお話をされました。
初めてのご来院時には、かれこれ1週間以上背中が痛いままとのことでした。
さらに詳しく伺っていくと、
「横向きで腕をガチッと止められて、肩甲骨の内側あたりを指でグイグイされた時、実は痛みを我慢していた」
そのように話ながら、ご自身で痛んでいる場所あたりを指示してくださいました。
実際にその部分を触れてみると、ポヤーンとした炎症特有の腫れがあり、
少し圧力を高めて押してみると「イタタタ…」と苦悶の表情を浮かべられていました。
「息をするのも痛くて、呼吸が浅くなってしんどい」
「咳やくしゃみをするのも怖い」
加えてそのように状態をお話しくださいました。
正直、はっきりと背中の筋肉を痛めている様子がわかりました。
病院やクリニックで診察を受けたとしたら、おそらく筋挫傷(きんざしょう)という診断がつくタイプの損傷です。
筋肉を硬いもので押し付けたような痛め方で、
イメージするとすれば、食用のササミ肉を乱暴に叩いてクタクタにしたような感じです。
とにかく炎症(体の組織が傷ついて火事が起きたようなもの)による腫れや熱感、
発赤(ひどい赤らみ)が強く現れ、とても痛々しい様子でした。
少し話は逸れますが、
このように筋肉を傷つけ、炎症による腫れや痛みを早期に改善するためには、
微弱電流(マイクロカレント)療法が大変効果的です。
この時も、微弱電流治療器によって炎症反応の鎮静化をはかり、
キネシオテーピングを使用して、筋肉と皮下組織との間の流動性を確保することによって、
背中の痛みは治療を二日続けることでみるみる改善しました。
(少し話はそれますが、物療機器の最先端はヨーロッパであり、
当院で使用しているNEUBOX(ニューボックス)はチェコで研究開発された微弱電流治療器です)
回復後には、
「息も詰まるぐらい背中が痛かったけど、おかげで安心できました」
「背中が楽になってきたら、また首が痛むようになってきました…」
そのようにご相談をいただき、首の痛みの解消に向けて治療に取り組まれています。
◯実証済み!お金を払ってリスクを買う?肩甲骨はがしの目的とは
もしかしたら、同じような体験を大なり小なりされている方はおられるかもしれません。
そして私自身も興味があったので、5件の整体屋さんに行き、「肩甲骨はがし」を実際に受けてきました!
1回の施術費用はだいたい4,000〜5,000円ほどと思います。
私は自分自身の研修参加のために月に2回程度、関西方面を中心に遠征をしています。
その機会を用いて、これまでに大阪で4回、近隣の整体院で1回、「肩甲骨はがし」を受けました。
正直、昔からマッサージやリラクゼーションを受けることが好きだった私としては、
「肩甲骨はがし」はどこで受けても「気持ちいい〜」という感じでした。
(忠告までに、当院は治療院なのでマッサージや按摩行為もしておりません)
ですが、確かに背中や肩甲骨の内側にもみ返しのような痛みを残すことが1〜2回ありました。
その時に、先の患者さんから伺ったお話がフラッシュバックしました。
おそらく、体を横向きに寝かせて腕を背中側へ引いた状態で固定し(胸を開かせて肩甲骨を背骨に近づける感じ)、
肩甲骨の内側(肋骨との隙間)へ指をグイグイと入れていく刺激方法?でしたが、
5件の整体屋さんはどことも、このグイグイをされていたと記憶しています。
(⇧おそらくこのような感じで、肩をロックして背中(肩甲骨の内側)をグイグイしていたと思います)
施術者の力加減の影響なのか、各店舗による施術方法自体のちょっとした違いなのかはわかりませんが、
確かに受けている時に強い痛みを覚えたことがあり、施術が終わった後もどことなく腫れぼったさが残りました。
そして、そのような翌日にはもみ返しの痛みを実感していたことは間違いありません。
その点を除けば、腕まわりや背中を中心にストレッチをしてくださったり、
おまけ?なのか店舗によっては首や肩を入念にマッサージしてくれたりと、
リラクゼーション的な心地良さで私は満足していました。
◯肩甲骨はがしの落とし穴!?受ける際の大切なポイントをお伝えします
ではしかし、どうして翌日に痛みが残ったり、
場合によっては筋肉の損傷が起きてしまうことがあるのでしょうか。
ここからは、その理由について説明していこうと思います。
突然ですが、このような経験をされたことはないでしょうか?
女性の方であればたいていの方はお化粧をされると思いますが、
もしお肌が弱っているような時に、強い刺激のお化粧品を使ったり、
お肌を入念にマッサージしたりすると、余計にトラブルを起こしてしまった、
そういった経験ってないでしょうか。
また、いつものお化粧品を使っていても、病み上がりの時やホルモン周期の関係などで、
体調によってはなんだか今日は肌に刺激を感じる、そのようなことを経験をされたことはありませんか。
男性であれば、普段通りシェービングをしたのになぜか肌荒れがしてしまって、
ヒリヒリがなかなか治らないといった経験。
実は、過剰な疲れやストレスが溜まっている時に受けるマッサージや「〇〇はがし」といった施術には、
弱っているお肌に強い刺激を加えるかのごとく、体を傷めてしまう可能性が潜んでいます。
実際に体がだるく力が入らなくなったり、翌日にひどい痛みを感じることがあれば、
私の体は今、
“マッサージやストレッチ、激しい整体を受け止める余力(体力)がない状態”
なんだ、と認識する必要があります。
このように、マッサージや痛みを伴うような激しい整体には、
効果を感じやすい時と逆効果になってしまう場合があります。
つまり、もしかしたら「肩甲骨はがし」は、
体調やその人自身の体力(筋力や筋肉の柔軟性)に合わせて慎重に実施しなければ、
体を傷めてしまう可能性が高い施術、という推測ができます。
冒頭で筋挫傷のお話をしました。
ササミのお肉を棍棒(こんぼう)で叩いてクタクタにすると説明した内容です。
実際に例のグイグイでは、施術者の指と私の骨(肋骨や肩甲骨)との間で、
背中の筋肉を押し付けたり、擦(こす)りつけたりするような工程を何度も行っていました。
(もちろん施術者にはそのような意図はないのかもしれません)
叩いてクタクタにするというよりは、すり鉢と棍棒でゴリゴリされるような刺激でしたから、
ササミ肉なら原形を失ってしまうような施術です。
人の筋肉も鳥の筋肉(ササミ肉)も同じタンパク質です。
そのように考えると、体力のない方や筋肉の痩せ細った方、疲労やストレスで身体状況の悪い方には、
「肩甲骨はがし」は場合によってリスクのある施術なのかもしれません。
ちなみに無資格者が経営する整体屋さんは、もちろん何の保証もつけてくれません。
つまり何が起きても一切の責任は負ってくれません。
「肩甲骨はがし」を受ける際には、何かあっても全て自己責任になることをくれぐれも忘れないようにしてください。
余談ですが、最近では整骨院の「国家資格者が行う本物の〇〇剥がし」といった煽りもあります。
しかしながら、どうして国家資格まで保有した治療家が、そういったことをしないといけなくなっているのか、
何か良くない裏事情があるのではないかなどと、考えて怖くなってしまいます。
◯肩甲骨はがしの効果を自宅で再現できる方法
ここからは少しばかり専門家の観点を入れていきます。
私が実際に受けた施術体験から「肩甲骨はがし」の内容はおそらく、
①胸部の筋肉(大胸筋・小胸筋)
②背骨と肩甲骨をつなぐ筋肉(大菱形筋・小菱形筋)
③脇腹から始まって肩甲骨の裏側へと繋がる筋肉(前鋸筋)、
④肩甲骨から肘あたりまで伸びる筋肉(上腕二頭筋・上腕三頭筋)
これらの筋肉のストレッチを巧みに組み合わせ、合間や最後に例のグイグイを加えているように感じました。
例のグイグイに関しても、②に対する効果や、実際に前鋸筋の付着部が肩甲骨の裏側(肋骨と面する側)
にあるため、その辺りを触れようとして強引な作法になっていたのかもしれません。
ですが、傷めてしまっては元も子もありません。
ちなみにこれら①〜⑤に関しては、猫背や巻き肩を改善して良い姿勢を保つために、
ストレッチのターゲットとされる筋肉がほとんどです。
肩こりや首こり、頭痛の原因が姿勢の悪化によるものという認識の裏立てから、
「肩甲骨はがし」が流行っていることと思います。
そこでここからは、自宅でも取り組める①〜⑤の代案方法、
そして例のグイグイのセルフ再現法を紹介していきます。
・肩こりや首こりを楽にしたい
・姿勢を良くして背中に天使の羽(肩甲骨の輪郭)を取り戻したい
・リスクを負って整体やマッサージを受けることに引け目を感じてきた
そのような方には、とてもおすすめの方法です。
手軽でどなたにでもできる方法ばかりですから、ぜひ毎日の取り組みにしてみてください。
◯肩こり首こり解消におすすめ!100円でできるセルフ肩甲骨はがし
ここでは5つのストレッチと、テニスボールを使ったセルフマッサージをお伝えしていきます。
一連で行うことで、「肩甲骨はがし」と同等の効果が得られるはずです。
①タオルを使って肩甲骨を寄せるストレッチ運動
⑴まず、タオルを肩幅ぐらいの長さに持ち、そのまま真上に腕を上げます。
さらに、そこから腕(肩)をできるだけ後ろへ引いていきます。そうすることで肩甲骨が寄るようになります。
⑵腕を頭の後ろを通過させながら下ろしていきますが、
この時に大切なポイントは、握ったタオルを左右に引き合いながら腕を下ろしていくことです。
そうすることで、より肩甲骨の内側に刺激を感じるようになります。
⑶下げられるところまで下げていきます。
肘同士を近づけるように意識すると、さらに肩甲骨周辺に刺激が入ります。
⑴〜⑶を5〜10往復させますが、腕の上げ下げはゆっくりと行い、
往復している間は常にタオルを引っ張り合う力を緩めないようにお願いします。
②力こぶの筋肉(上腕二頭筋)のストレッチ
⇧向かって左の画像のようにポジションを取ります。
手の位置をきめ、手のひらが壁から離れないように注意しながら、少しずつ体勢を下げていくことで、
力こぶ側の筋肉がストレッチされます。
筋肉が伸びている感覚を覚えたところで、深呼吸をしながら20秒静止してください。
1セット3回、両腕とも行いましょう。
体の硬さに応じて加減を調整してください。最初のポーズの段階で抵抗を感じすぎる方もおられるはずです。
そういった場合は、そのポジションのまま深呼吸をして20秒静止しましょう。
決して無理をしないようにお願いします。
③二の腕の筋肉(上腕三頭筋)のストレッチ
⇧向かって左から右へ進行していきます。
⑴肩に手(指)を乗せます。
⑵肘を持ち上げていきます。
⑶右側の画像のように、肘先をできるだけ上方へ持ち上げることで、二の腕側の筋肉にストレッチがかかります。
伸びている感覚を覚えたら、深呼吸をしながら20秒間静止します。
②と同様に無理のない程度に1セット3回、両腕ともに行いましょう。
④肋骨の横側を伸ばすストレッチ
⑴左腕を天井方向に伸ばし、右手で左肘あたりをつかみます
⑵背すじを伸ばし、そのまま右側へ上半身を倒していきます
⑶右手は左腕の延長方向+右方向へアシストするように引くとよりストレッチがかかります
⑷さらに、左ワキや肩甲骨あたりを反対の左側へ突き出すようにするとストレッチの強度が増します
⑶と⑷にいたっては決して無理をしないようにしてください。まずは⑴〜⑵までをジワ〜っと行いましょう。
伸びている感覚を覚えたところで、深呼吸をしながら20秒静止します。
※画像では左側をストレッチしていますが、両方とも実施してください。
⑤胸の筋肉のストレッチ
⑴腕を壁に対して平行になるように沿わせます。
⑵足元は腕と逆方向に向け、さらに、体も腕と逆方向に捻るようにします。
腕の前側から胸の前が伸ばされるのがわかると思います。
⑶体を捻っている方向へ、さらに捻りを強くするように5回反動をつけて動かします。
⑷その後20秒間、伸びている状態を感じながらジワーッとキープします。
⑶に関しては、強引には行わないように注意しましょう。
⑵の時点でストレッチが強く感じている場合は、⑶抜きで行ってください。
※ストレッチは両側とも行いましょう。
⑥テニスボールで肩甲骨と背骨の間、肩甲骨と肋骨の隙間をマッサージする方法
仰向けに寝て、テニスボール(100円ショップで買えます)を背骨と肩甲骨の間に当てがうだけです。
テニスボールでは辛い場合があると思います。同じぐらいの大きさのビニールボールで代用が可能です。
体を動かして無理にグリグリすると、返って背中の筋肉を傷める可能性がありますので、
下敷きにしたままジーッとしておくことがおすすめです。
⇧背中を刺激している側の腕を反対側へ移動させることで、肩甲骨が外に開いていきます。
すると、背骨と肩甲骨の間のスペースが広がるため、ボールで刺激できる面積が増えるはずです。
ボールの当てどころで感じ方が違うはずなので、心地のいいところを重点的に刺激しましょう。
痛みを我慢しながら実施する必要はありません。
⇧さらに、肩甲骨と肋骨の隙間を刺激する方法も試してみましょう。
横向きに寝て、肩甲骨の下角を見つけ、そこからすぐ前方(胸側)に窪みがあるので、
そこにボールをセットするだけでOKです。
これら「セルフ肩甲骨はがし」の一連①〜⑥を1セットとし、
お風呂上がりなどの時間を使って、まずは1週間継続してみましょう。
肩こりや首の痛み、頭痛が改善される可能性がグンと高くなります。
せっかく施術費用を払って「肩甲骨はがし」を受けたのに、返って体が傷んでしまった…
そんな後悔はしたくない。でも肩こりや首の痛みを改善したい。
そのような方にはぜひこの度ご紹介させていただいた「セルフ肩甲骨はがし」をおすすめします。
ちなみに、例のグイグイは①と⑥で代用しています。
繰り返すようですが、無理のない範囲で行いましょう。
特に②⑤⑥は、やりすぎたり過剰な実施方法になると怪我を招く可能性があるのでご注意ください。
◯まとめ
最後までご覧いただきありがとうございました。
この度のブログでは、巷で流行中?の「肩甲骨はがし」に関係する内容をブログに書かせていただきました。
・肩甲骨はがしとは?
・推測する肩甲骨はがしの効果や目的(肩こりや首の痛みと姿勢の関係)
・肩甲骨はがしによるリスクについて
・自宅でできる「セルフ肩甲骨はがし」の解説
このような内容を、患者さんの実体験と私自身が身をもって受けた体験とをもとに、
ブログ記事としてまとめてみました。
肩こりや頭痛、首の痛みといったお困りの方は多くおられます。
そして、そのような辛い状態が少しでも軽くなると嬉しいですよね。
今後も整体屋さんやマッサージ店をご利用されたり、
肩甲骨はがしを受けてみようかとお考えの方もおられるはずです。
そういった場合には、この度のブログを参考にしてただき、施術がご自身の体に合っているのか、
担当の施術者は、大切なご自身のお体を預けてもいいほど信頼できるのか、
まずはそのような判断の時間を作っていただくことも大切かと思います。
ブログの途中に表現させていただいたように、あくまでリラクゼーションの一環であり、
慢性化した症状を改善させるための行為ではないはずです。
また、本来お体の改善のためにあるはずの整骨院や鍼灸院において、
「肩甲骨はがし」などの流行りものを導入していることにも疑問を感じます。
せっかく期待を込めて施術を受けたのに、返って体が傷んでしまった…
そのようなことが起きたとしても、誰も責任をとってくれることはありません。
手間ではありますが、ぜひとも、この度紹介させていただいたセルフ肩甲骨はがしを、
まずは1週間継続していただきたいと思います。
しかしながら、「やってみたけど一向に良くならない」といったこともあるはずです。
そのような場合には、姿勢や肩甲骨関連以外のことに、肩こりや首の痛みの原因が隠れている可能性が高いです。
ご自身ではなかなか解決するのが難しい、原因がよくわからないなという場合には、
お近くで専門の治療院さんがございましたら、迷わずご相談いただくことをおすすめします。
そしてもしもあなたが愛媛県西条市でこのような症状にお悩みでしたら、ぜひ当院にご相談ください。
肩こりや首の痛み、頭痛にお困りの患者さんが、良くなっていく姿をこれまでにたくさん見てきました。
まずはご相談からでもかまいませんので、お気軽にお問い合わせください。
◯無料相談が可能です
・当院ではLINEから個別の相談を24時間受付けております。
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お友達追加をしていただき、お気軽にご利用ください。
「このような症状ですが良くなりますか?」
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(監修 柔道整復師 鍼灸師 石田将太郎)