「頑張るのは娘なんだけど、わかっていても受験が終わるまでは気が休まらない」
「胃が悪くなっているのか食後の腹痛が続いている。背中や肩も辛くなってくると夜寝づらい」
受験生を持つお母さんから、そういったお悩みを伺うことが度々あります。
さらにお話を詳しく伺っていくと、
「見通しのつかないことに不安を感じる」
「主人は楽観的で私の気持ちをわかってくれない。私だけがひとり不安になっている」
そういった行き場の無い思いと、お子さんの前では冷静にいようとして、
普段通りを装うことに不安と疲れを感じているようでした。
また、日中のお仕事でストレスに見舞われると、
肩こりや背中の痛みが強くなって、胃がムカムカしだすと夜寝られなくなる。
「イライラしてばかりで、自分だけ馬鹿みたい…」
お子さんのサポートに誠心誠意尽くされているお母さんたちの中には、
このように苦しまれている方もおられます。
今回のブログでは、そういった受験生をサポートするお母さんたちの身体不調を少しでも和らげるために書きました。
肩こりや背中の痛み、ストレスやイライラが原因の身体不調、胃の痛み。
もし、こういったことにお悩みでしたら、ぜひ一度ブログをご覧ください。
◯はじめに
こんにちは。
愛媛県西条市でいしだ鍼灸整骨院を開業しています、院長の石田将太郎(いしだしょうたろう)です。
受験生を持つお母さんから、お体の不調についてご相談を受けることがあります。
共通試験が終わり、一般入試に向けてこれからもう一息頑張らないといけないタイミングですよね。
当院にご来院される受験生ママ数名のお体から、ある共通点を見つけることができました。
治療では、その特徴を意識して施術内容を提案しています。
おかげさまで、体や気持ちが楽になっていると嬉しいお言葉をいただいております。
今回のブログでは、そういった経緯と臨床経験から、
受験生ママの身体不調の原因や、実践していただきたいセルフケアをお伝えしていきます。
ぜひ最後までご覧いただき、お役立ていただければ幸いです。
◯ストレスや不安が背中の痛みや肩こりを悪化させる
受験生ママに共通した身体特徴には、背中の痛みや肩こりの悪化があります。
「塾の送迎をしていると気分が悪くなるほど肩こりがする」
「姿勢が悪くなっているのか、背中やお腹が痛むようになってきた」
このように、背中の痛みや肩こりの悪化、頭痛、胃の痛みを訴える方が多いことがわかりました。
受験生ママはいくつもの肩書きを持っています。
お母さんとしての顔、主婦になる時間、お勤め先での姿、いろんな場面で気を揉むことや、
常日頃たくさんのストレスにさらされているはずです。
どうしてもご自身のことは二の次三の次になり、お体をケアする暇なんてありませんよね。
いつの間にか体はカチカチにこわばって、肩には力が入りっぱなしになり、
鏡に映る自分の姿を見て驚いたとお話くださる方もおられました。
受験シーズンになれば、お子さんの将来を考えて気が張っていたり、
些細なことにイライラしてしまったりすることも不思議なことではありません。
家族の中で、たった一人奮闘しているような気持ちになることだって、無理のないことなんだと思います。
こういった状態では、気の休まる時間がなくなり、どうしても疲労が蓄積していきます。
睡眠の質が悪くなり、自律神経の働きが乱れるようになるため、胃腸の働きが低下します。
また、全身の血の巡り(血流)が悪くなるため、ホルモンバランスの影響を受けやすくなります。
肩や背中に痛みを感じたり、疲れが抜けなくなってイライラするようになったり、
胃の痛みや、他にも、下腹部の違和感などを感じることだって不思議ではありません。
◯YouTubeでは教えてくれない受験生ママを助ける特効ツボ
ある受験生ママは、胃の痛みからはじまり、背中の痛み、肩こり、頭痛と症状が増えるようになっていました。
そのようなとき、YouTubeを見て足の脛(すね)にあるツボ(東洋医学で治療に使う身体反応が現れた場所)
を用いたセルフケアを知り、そして試されたようです。
ツボの名前を聞くと「足三里:あしさんり」という有名なツボでした。
実際に胃の痛みや食欲不振、他にも、足の疲れや腰痛の治療にも用いられる代表的なツボです。
しかしながら、足三里を刺激しても一向に身体不調が改善することはなく、
日を追うごとに症状がひどくなっていくため、不安になって病院を受診されました。
病院では、
「胃が荒れている。痛みや食欲不振を感じることも仕方ない」
「ストレスが原因だから、処方する薬を飲んで、体を休めるように」
そのように診断をもらったようでした。
しかしながら、
「休めるものなら休んでいる。病院に行って余計にイライラしてしまった」
「薬を飲んで最初は効いていたが、最近は胃の痛みも肩こりと頭痛もひどくなっている」
そういったお困りの様子をお話しくださいました。
セルフケアでは改善しない身体不調、処方された薬の効きも悪くなっている、
辛さと不安でいろんな病院と治療所を探されていた時に、ご友人からの紹介で当院にお越しになりました。
問診中には、座っている姿勢を保つことや、声を出して話すことも辛そうにされていました。
そして、お体全体を触診していくと、とてもわかりやすい身体特徴が2つ現れていました。
ひとつ目は、みぞおちから肋骨の内側あたり(季肋部:きろくぶ)に現れる腫れと硬さでした。
さらに、左側よりも右側の季肋部に強い反応を感じることができました。
そしてふたつ目ですが、足の甲の腫れと親指の硬さでした。
こちらも右側のほうがしっかりと感じとれました。
これらの情報から、治療で使うためのツボは足三里では不足があったことがわかります。
実は、こちらの受験生ママの身体不調は「足の厥陰肝経:あしのけついんかんけい」(以下肝経)という
経絡(けいらく)に属する経穴(けいけつ:ツボのこと)の使用が効果的な状態だったのです。
補足をすると、経絡とは東洋医学で考えられている体の中の特別な道のようなもので、
この道を通って私たちの体に大切な「気」や「血」が流れていると考えられています。
東洋医学による治療は、経穴(ツボ)を刺激して経絡の流れを良くすることで、身体不調を改善します。
ちなみに、足三里は「足の陽明胃経:あしのようめいいけい」(以下胃経)という経絡と経穴で構成されています。
ストレスによる胃痛やお腹の違和感に対して、東洋医学を用いた治療をする場合に胃経と肝経は外せません。
その際、ストレスによってイライラしやすいタイプの人であれば、
肝経の経絡や経穴(ツボ)に反応があらわれるケースが多いと感じています。
そして、治療として使うツボ(経穴)も、肝経に属するものを使うと改善しやすくなります。
このように、患者さん一人ひとりの性格や身辺環境によって、効果的な治療を選択する必要があります。
過去には、間違った対策を続けていたことで、返って悪化を招いていたケースもあります。
昨今、ネットや動画の普及によって、さまざまな健康情報を手軽に取り入れることが可能になりました。
しかしながら、自分に最も合っているものを選ぶことは、反対に難しくなっているという側面もあるようです。
当院にはそのようなご相談も寄せられていますし、できる限りご対応させていただきます。
「この方法、私に合っているのかな?」
「検索したらいろんなストレッチが出てきたけど、こんなにたくさんできない」
そのようなお困りがあるようでしたら、一度当院へご相談ください。
◯イライラや心配によって現れる背中や肩の痛み・頭痛を和らげるには
ここからは、これまでの内容を踏まえながら、受験生ママの身体不調に対するセルフケアをお伝えしていきます。
実際に当院で患者さんに提案しているセルフケアのご紹介でもあります。
塾のお迎え待ちの車内でもできる手軽な方法ですが、継続することで効果が実感できるはずです。
⑴経穴(ツボ)の指圧刺激
まず2つのツボをご紹介します。
①太衝(たいしょう):足の厥陰肝経の代表的なツボ。
足の親指と人差し指の骨の間を登っていき、骨同士の交点あたりに、押すとツーンと強めの痛みを感じる場所。
頭に上った気をおろす作用があり、怒ってカッカしている時に押さえると落ち着くと言われています。
頭痛、背中やお腹周りの痛みや苦しさなどにも効くツボです。
②肩井(けんせい):肩こり治療の代名詞的なツボです。
太衝とは違う経絡上のツボですが、胃痛に伴う肩こりや背中の痛みの治療に用います。
左右の肩幅のちょうど真ん中あたりを真下に押さえると、ズーンと重みのある痛みを感じやすい場所です。
これら2つのツボを、痛気持ちいいぐらいの強さで5秒間指圧し、ゆっくりと指を離して5秒間休む。
この一連を5〜10回繰り返します。
指圧に合わせて深呼吸をするとより効果が得られます。
指圧のタイミングで息を吐き、指の圧を抜きながら息をゆっくりと吸うようにしてください。
※指圧によって捉える感覚は様々ですから、ツーンやズーンを感じられなくても問題はありません。
⑵背中のストレッチと足の親指まわし
とても簡単なストレッチです。
①座ったまま背すじを伸ばし、右側に上体をねじった状態で15秒間深呼吸しながら体勢をキープする。
②終わったらゆっくりと正面へ戻し、次に左側へ上体をねじって同様のストレッチを15秒行いう。
③その後、足の親指を左右10回ずつまわします。
背中のストレッチと親指まわしを3回ずつ行います。
背すじを伸ばした状態でストレッチを行うことで、姿勢不良によって圧迫された胃や腸の働きが活発になります。
また、親指まわしは肝経の経絡の刺激にもってこいです。
⑶バンザイをしたまま腹式呼吸をする
腕を真上に伸ばしたまま大きな腹式呼吸を行っていただきます。
こちらも胃や腸をケアする働きと、体幹を刺激して良い姿勢をキープする効果があります。
肋骨や横隔膜を刺激するので、季肋部あたりを効率良くストレッチすることができます。
車内であれば、座ったまま車の天井を両手で押し上げるようにして行ってください。
コツは、ご自身が思っている腹式呼吸の1.5倍お腹を膨らませることです。
想像よりも負荷が強いはずなので、背中をつったりしないように注意して行ってください。
腕の上がりが悪い(肩の関節の可動域が悪い)人であれば、無理にバンザイをしないようにしましょう。
ポジションをキープしたまま大きな腹式呼吸を3〜5回行います。
終わったらゆっくりと腕をおろし、意識的に体を脱力します。
ここまで、3つのセルフケアをお伝えしてきました。
可能であれば、⑴〜⑶を1セットととし、1日に2〜3セット行うようにしてください。
ですが、いきなり全てを行うことは大変かと思います。
最初は3つ全てでなくてもいいので、やりやすいものを選び、まずは1週間継続してみましょう。
好きな組み合わせが見つかれば継続しやすいと思います。
場所を取らない方法ですから、お子さんの塾のお迎え待ち時間などを活用して継続してください。
また、お仕事の休憩時間や、お風呂の湯船の中、就寝前といったタイミングでの実施は特におすすめです。
◯まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
今回のブログは、受験生のお子さんを育てるお母さんに向けて書きました。
受験によるストレスを受けているのはお子さんだけではありません。
受験生のお母さんも、本当は体がクタクタで、肩こりや頭痛を抱えていることが多いです。
そして、心配や不安、イライラを重ねることで胃腸にトラブルを起こしたり、
その影響で腰や背中が痛んだりすることも不思議ではないことをお伝えしました。
そして、そのような受験生ママに向けた効果的なセルフケアをご紹介しました。
場所を選ばずにどこでも行える方法ですから、まずは1週間セルフケアを継続していただきたいと思います。
少しずつ体の変化を感じることができれば、さらに1週間継続を伸ばしていきましょう。
受験シーズンには必ず終わりがきます。
親子二人三脚、家族一丸になって受験シーズンを乗り越えていただければ幸いです。
しかしながら、セルフケアを熱心に取り組んでいただいても、
「続けても一向に様子が変わらない」
「以前より症状が悪くなっているように思う」
そのような場合もあるはずです。
そういった場合には、何か他の原因が隠れている場合が多いです。
我慢をしすぎずにお近くの病院や内科、整形外科といった医療機関をお尋ねください。
他にも、柔道整復師や鍼灸師といった国家資格を持つ施術者のいる専門機関にも相談が可能です。
当院でも、開院時より受験生とそのご家族のヘルスケアを受け持たせていただいております。
お困りであれば、一度お気軽にご連絡くださいね。
◯当院の詳細について
※当院は完全予約制・自費診療専門の鍼灸整骨院です。
※施術料金
初回:12,800円(税込)
2回目以降:9,800円(税込)
もっと当院について知りたい方は、当院ホームページをご覧ください。
患者さんの声などもご紹介させていただいております。
(柔道整復師・鍼灸師 石田 将太郎 監修)