◯はじめに

今年は元日に能登半島大地震があり、最近もまた石川県で大きな地震が起こりました。

4月にはこの辺りでも震度4レベルの地震がありましたよね。

世界中でも、大きな地震、台風といった災害が各地で続いています。

 

私も小学生の時に阪神大震災を体験しました。

地震後もしばらくは、小さな余震に対しても過敏になっていたり、

親が知人の安否を確認する様子など、幼ながらに、緊張感のただよう時間を過ごしていたことを覚えています。

 

頻繁に地震が続いていることや、各地の災害情報を見たり、最近では近隣国のミサイル問題などに触れたりと、

気持ちの落ち着かない日々を送られている方がおられると思います。

 

そこでこの度は、不安や動悸で眠れないときの対処法を紹介させていただきます。

このブログが災害で避難所の生活を余儀なくされている方、

あるいは、不安や動悸で苦しんでおられる方のお役に立てるよう願います。

 

 

◯不安や動悸で眠れない時の対策とは

 

こんにちは。

愛媛県西条市でいしだ鍼灸整骨院を開業しています、院長の石田将太郎(いしだしょうたろう)です。

 

この度のブログでは、

不安や悩み事でなかなか眠れない。

眠りが浅いためか、夜に目が覚めてしまう。

緊張すると動悸がしたり、胸が息苦しくなる。

そういった身体的不調の対処法をまとめています。

 

ここのところ、世界中で地震や災害が多発していることは皆さんもご存知だと思います。

私自身も小学校2年生の時に阪神大震災を体験しましたので、

地震の揺れを感じたり、ニュースの緊急速報などを見るとやはり緊張してしまいます。

 

最近では、地震前の緊急災害アラームが鳴るようになりましたよね。

私ごとですが、実はあのアラームが鳴ると、その後寝つきが悪くなったり、

いつもより音に敏感になったりしていることがあります。

 

実際に災害を体験したり、または職場で嫌なことがあったり、プライベートで問題を抱えてしまうと、

夜にリラックスして眠れなくなることってありませんか?

 

このようなお悩みは、当院に来院される患者さんからも相談をいただく機会があります。

そこでこの度は、不安や緊張で夜眠れないときの対処法をブログにまとめました。

 

もし同じようなお悩みをお持ちでしたら、このブログの内容がお役に立てるはずです。

お時間の許す際には、ぜひ最後までご覧ください。

 

 

◯緊張や不安で頭が冴えてしまった時にどう対処するか

 

突然ですが、最初に自律神経のお話に触れさせていただきます。

ご存知の方も多いと思いますが、私たちの体は自律神経によって調整されています。

自律神経には、

・仕事や運動中など、活動時に優位になる「交感神経」

・食事や睡眠時など、リラックスしていて体の回復を促す時に優位になる「副交感神経」

このような2つの神経があります。

 

自律神経はまるで自動コントロール装置のような働きをします。

日常生活の中で活動的になるときには交感神経を優位にさせ、

反対に、リラックスして体を休めるときには副交感神経が優位になるようにコントロールしています。

 

自律神経は人体の自動コントロールシステムです。

自律神経を調整できるのは、他の誰でもなく自分自身の体でしか調整はできません。

 

さらに、自分自身の体とはいえ自動でコントロールされていますから、

意志によって即座にコントロールすることは難しいものです。

 

例えば、地震や台風などの天変地異が起こると、人間は生命の危機を感じるため、

自律神経の働きとして交感神経が優位になります。

 

つまり、地震や台風などの災害時には、私たちは生きるために本能的になります。

このような交感神経が常に優位になった状態では、リラックスして生活することは難しくなります。

 

そして、交感神経が優位に立った状態は、筋肉が緊張して硬くなっている状態です。

例えば犬なら、毛を逆立てながら牙を剥いて威嚇しているような様子です。

この状態が続くと、筋肉の中を走る血管が圧迫されるようになり、血の巡りが悪くなります。

その結果、体が重だるくなったり、やたらと疲れやすくなることもあります。

 

本来、睡眠に向かうときには、リラックスする神経である副交感神経が優位になります。

筋肉だけでなく体から緊張が抜けていき、必要最低限の身体活動になっていきます。

そうなることで、深い睡眠に入る準備ができます。

 

しかし、交感神経が優位になったままでは、体は緊張した状態のままなので、なかなか眠りにつけません。

あるいは、この状態が続いていくらか慣れてきたとしても、

夜中に目が覚めるといった不調につながる可能性が高くなります。

 

 

◯不安や動悸を感じたときの身体状況とは

 

先ほど、「自律神経を調整できるのは自分自身だけだ」とお伝えしました。

では、自律神経をどのように調整すれば良いのでしょうか?

 

そもそも、自律神経に司令をだしているのは脳の働きです。

 

脳から送られた指令は、脊髄(せきずい:背骨の中を通る神経の束)を電線のように伝い、

筋肉や内臓、血管など体中のすみずみに影響していきます。

 

一生懸命走ると呼吸が荒くなり、心臓がバクバク鳴って、脈拍も血液の巡りも速くなりますよね。

これらは交感神経の作用が影響した様子です。

 

反対に、リラックスしているときは副交感神経が優位になるため、

呼吸はゆっくりと安定し、心拍数も通常のリズムになります。

 

このように脳からの指令が、日常の様々なシーンに応じて、自律神経をうまく調整しています。

 

ところが、嫌なことを思い出したり、過去のトラブルがトラウマになったり、

ストレスによって興奮状態が継続していることで、交感神経優位のスイッチが入りやすくなっていきます。

 

実際に災害などの影響がなくても、ちょっとした驚きや拍子で交感神経が優位になり、

興奮してしまうこともあります。

 

そして、このような興奮状態を作る原因は、日常の生活習慣や社会環境の中に潜んでいます。

精神的なストレスを抱えている、スマホやパソコンによって目を酷使する、睡眠不足が続く、

そういった状態が長期化すると、やがて脳が疲労してしまい、適切な命令を出せなくなることがあります。

その結果、体は生命的な危険を感じ、交感神経が活発化することになります。

 

 

◯目の疲れと自律神経の関係性について

 

日常生活の中には、いつも何気なく行なっていることが、

自律神経の調整能力を低下させる原因になっていることがあります。

 

実は、眼球の中央にある瞳孔(どうこう)は、自律神経と密接な関係にあります。

活性していると瞳孔は開き、交感神経が優位になります。

リラックスしてぼんやりしている時は副交感神経が優位になり、瞳孔が小さくなる傾向があります。

 

今や私たちの生活において、スマホやタブレット、パソコンは手放せない存在ですが、

スマホやパソコンの画面を見続けると、眩しさを調整するために、瞳孔を小さくするように働きます。

しかし、長時間スマホやパソコンの眩しい画面を見続けてしまうと、

瞳孔が疲労して調整する能力が低下し、やがて瞳孔が開いた状態になっていきます。

 

その結果、交感神経が緊張した状態を引き起こすことになっていくのです。

実際に、調子の悪い時はスマホやパソコン、ゲームでも調子を崩す引き金になることがあります。

 

 

◯脳の機能によって動悸や不安がコントロールされている

 

では、脳の疲労がなぜ不安や動悸、夜に眠れない不眠とも関わりがあるのでしょうか?

 

脳の重さは約1kgほどですが、なんと、体のエネルギーの4分の1を消費しています。

ちなみに、私たちの体のエネルギーは、酸素と栄養をもとに作られます。

体のエネルギーは車で言うところのガソリンと同じで、エネルギーが不足すれば、体は正常な働きができません。

 

呼吸と食事によって取り込んだ酸素や栄養はエネルギーに変換され、

心臓から送り出された血液が脳や内臓、筋肉、皮膚などの体の隅々まで、各細胞に届けていきます。

しかし、先述のように常に交感神経が優位な状態が続くと、

筋肉が硬くなり、筋肉内の血管が圧迫されて血液の流れが悪くなります。

その結果、体内では酸欠や栄養不良が起こりやすい状態を招きます。

 

血液の循環が悪くなると、疲れやすいとか、不快感を感じるようなことがあっても不思議ではありません。

そのような状態が続くと、焦りや不安を感じるようになり、やがて精神的な不調を起こす可能性もあります。

 

たとえ体を動かさない状態だったとしても、

脳自体は、考え事をしたり、テレビを見たり、音を聞くことでも刺激を受けて活動しています。

また、内臓も常に活動していますので、生存に必要なエネルギーは優先的に脳や内臓に供給されます。

 

必然と筋肉や皮膚、髪の毛などにはエネルギーの供給は後回しになります。

調子が悪くなると、皮膚が乾燥したり、髪の毛がパサついたり、目の周りがピクピクするのはこのためです。

 

 

◯呼吸の状態が睡眠障害と関連する理由とは

 

疲労がかさむと、家に引き篭もりがちになりませんか?

運動の機会や外出も少なくなり、筋肉の機能も低下します。

 

呼吸をするたびに私たちの胸やお腹は膨らんだり、縮んだりを繰り返しています。

胸や背中、首、お腹の筋肉は呼吸機能と深い関わりがあり、胸や背中、首の筋肉が滑らかに動くことで、

正常な呼吸ができるようになっています。

ですので、呼吸に関係する筋肉の機能が低下すれば、酸素を取り込む効率が悪くなってしまいます。

体を動かすためのエネルギーは、酸素と栄養をもとに作られているので、

酸素の取り込みが減ってしまうとエネルギーの原料が不足することになります。

 

その結果として、体は疲れやすくなり、思考能力にも影響するわけです。

まるで、酸素の薄い高山で遭難してしまい、食料も底をついた時のようなものです。

 

今でこそ普通になっている方もおられますが、

マスクを着用して生活していると、通常よりも疲れやすくなった経験はないでしょうか?

不織布一枚の影響で呼吸に負荷がかかり、酸素の取り込みが制限されるため、体は疲れやすくなります。

その結果、少しの活動でも息が上がり、動悸が起こることがあります。

 

 

◯脳の疲れが不安や動悸の原因になる理由について

 

脳は体のエネルギーの4分の1を消費するとお伝えしました。

そして、エネルギーが不足すると自律神経の適切な調整ができなくなります。

 

脳の中には大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)といって、感情を調整する場所があります。

脳の機能が低下すると、感情の調整機能にも影響が及び、普段は何の問題もないことでも不安を感じたり、

イラだってしまったりと、感情が激しくなることがあります。

 

また、筋肉の機能が低下して酸素の供給が間に合わなくなると、

睡眠中に呼吸が制限され、夜中に目が覚めることがあります。

 

このように、脳の疲労が睡眠状態を悪化させ、疲労が蓄積して健康を害するようになることがあります。

筋肉疲労によって呼吸が浅くなれば酸素の取り込みが悪くなり、

やがて自律神経の働きが乱れていくので、不安や動悸につながることがわかってきました。

 

 

 

◯ストレスやトラブルに負けない!心と体を整える3つの対処法

 

では、動悸や不安で眠れない時、苦しい時にはどんなことに取り組むと良いのでしょうか?

 

自律神経が緊張している状態(交感神経が緊張している時)に対しては、

緊張を和らげることで体がリラックスする効果を期待できます。

 

①動悸や不安で眠れない時には好きな香り(匂い)を使うと効果的

私たち人間は不快感や痛みを脳の扁桃体(へんとうたい)というところで察知しています。

特に、慢性痛のような長引いた痛みには、扁桃体を興奮させる性質があるようです。

 

扁桃体は感情とも深い関わりがあり、不安や怒りの感情によって身体の緊張状態が続くようになると、

やがて扁桃体も興奮するようになり、痛みや感情に対して過敏になってしまうこともあります。

 

そのような時には、好きな匂いを嗅いで、扁桃体をリラックスさせる方法がおすすめです。

扁桃体は嗅覚とも深い関わりがあり、嗅脳(きゅうのう)とも言われていました。

 

寝る前にアロマを嗅ぐ、もしくはアロマディフューザーやお香を使って好みの香りを拡散させる、

そういった方法で扁桃体をリラックスさせることも効果的です。

 

動悸や不安がある時には、ぜひご自分の好きなお香やアロマを焚いてみてください。

避難所生活で眠れない時にも、好きなアロマ精油を枕元に1、2滴垂らして匂いを嗅ぐと、

その後寝入りがしやすくなります。

 

応用になりますが、記憶と匂いは関連しやすいので、

もし今辛い環境の中だったとしても、訓練として、思い出すと笑ってしまう記憶、

ほっこりするような描写を浮かべながら好きな匂いを嗅ぐようにしてみてください。

 

そうすると、その匂いを嗅ぐことで脳がリラックスするようになり、緊張がほぐれやすくなります。

 

 

②呼吸法によって動悸や不安を和らげる

 

呼吸法をうまく使えれば、自分自身で自律神経を調整することが可能となります。

近年、瞑想やヨガが流行しているのも、呼吸にこそ自律神経を調整できる能力があるからだと考えています。

 

顔を赤らめて怒っている人を想像してほしいのですが、息が切れて呼吸が浅くなっている傾向があります。

しかし、気持ちも心もリラックスしているときは、深くて安定した呼吸ができている傾向があります。

 

本来、呼吸は吸うと吐くの割合が、1対2になることが理想的です。

そのように意識して呼吸をすることで、交感神経の働きを抑制し、

副交感神経を少しだけ優位に働かせることができます。

 

今からでもご自身の呼吸に意識を向け、

息を吸うのに2秒かけたら息を吐くときは4秒かけるように意識してみてください。

 

眠る前には、ご自身の胸とお腹に手を置いて、息を吸ったときに体が膨らみ、

そして息を吐いた時に体が縮んでいくことを感じるようにしてみてください。

 

この感覚を味わいながら、1対2の割合で深呼吸をしてみましょう。

そして眠る前には、この一連を5回ほど繰り返すと、リラックス効果を促して、

普段よりも深い睡眠についていくことが可能となっていきます。

 

 

③動悸や不安による睡眠障害を和らげる皮膚刺激

私たち人間の皮膚にはたくさんのセンサーがあります。

熱いものに触れたり、尖ったものに触れると痛みで咄嗟に手を引っ込める反応も、

この皮膚のセンサーを起点に反射が起こるからです。

 

実は、皮膚のセンサーをゆっくりと刺激することで、脳のリラックス効果を促すことが可能になります。

肌触りや着心地という言葉があるように、皮膚は不快な反応だけでなく、心地よい反応もキャッチしています。

 

もし、不安や動悸で落ち着かない時は、皮膚を秒速5センチくらい(アリが歩くくらい)のスピードで、

腕をゆっくりとさすってみてください。

指先から肩までの距離を10秒かけて撫でていくような感じです。

家族やパートナーの方がいらっしゃるのでしたら、背中をこのスピードで優しく撫でてもらいましょう。

 

こういった皮膚刺激は、日中に何度でも取り組んでいただいて問題ありません。

このように腕や背中を撫でることで、脳内でリラックスするホルモン(オキシトシン)が分泌され、

不安や動悸を和らげることが可能です。

 

もし、不安や動悸で眠れない時には、上記3つのことを日常生活に取り入れ、1ヶ月ほど継続してみてください。

 

 

◯動悸や不安で眠れない時はお一人で悩まずにご相談ください

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

この度のブログが、不安や動悸による睡眠障害でお悩みの方々に届いていれば幸いです。

また、避難所で生活を送られている方にも、このブログの内容がお役に立てることを願います。

 

差し出がましいですが、当院では自律神経が正常に機能するような治療を行なっています。

もしお近くの方で、不安症や動悸、不眠といった心身不調にお困りになられていましたら、当院へご相談ください。

 

この度のブログを読まれた方のご健康を心より願います。

そして、一刻でも早く、被災地の復興が叶いますようにお祈り申し上げます。

 

 

 

◯無料相談が可能です

 

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(監修 柔道整復師 鍼灸師 石田将太郎)

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