「肩こりがひどくなってきたと思ったら、左の腕や手先に違和感を感じだしました」
先日、初めてご来院された女性患者さんは、不安そうな面持ちでお体の様子を教えてくださいました。
さらに詳しく伺っていくと、
「左腕や手が痺れ出したら脳の病気の前兆かもしれないと、昔祖母から聞いたことがあって…」
どうやらその記憶が蘇り、途端に不安になったようです。
「ただ、3ヶ月前に会社の健康診断を受けたばかりで、その時はどこも悪くなかったんです。
強いていうと肩こりがひどいぐらいで…」
まさか脳梗塞の影響!?と不安になる前に。左腕や手先の痺れの原因とは?
こんにちは!
愛媛県西条市で、いしだ鍼灸整骨院を開業しております、
院長の石田将太郎です。
先の女性患者さん(Iさんとさせていただきます)ですが、
結果からお伝えしますと、2ヶ月半の治療期間に5回通院をしていただき、
左腕や手先の痺れはスッキリと良くなられました。
せっかくなので肩こりも改善したいとお話をくださったので、
今では月に一度、コンディショニングをかねて定期通院をされています。
実は、肩こりにお悩みになりながら、
手先や腕のあたりに、痺れや違和感を感じられている方はまれではありません。
この度のブログでは、
どのようにして左側の腕や手先の痺れが良くなったのか、
またその原因を紐解きながらご紹介していきます。
そしてIさんには、
通院だけでなく、日常生活の中でちょっとしたある取り組みをしていただきました。
その取り組みを継続してくださったことも、症状のスムーズな改善に結びつきました。
ブログの最後には、お困りの方に向けたセルフケアの方法として、
こちらの取り組み内容もご紹介させていただきます。
例えばほかにも、
・ひどい肩こりがあるが、治らないと諦めて放っていたら手に力が入らなくなってきた
・物を落とすようになった
・ペットボトルのキャップが開けにくくなった
そのような身体不調、お困りがある方にもきっとお役に立てる内容となっています。
ぜひ最後までご覧ください。
手先の痺れの原因は、肩から手先までの筋肉のつながりが原因?
突然ですが、シワひとつない綺麗なワイシャツの裾をピッと引っ張ったとします。
その引っ張りはいろんなところまで影響しますよね。
人の体は皮膚(ひふ)によって一括りになっているのですが、
筋肉は筋膜(きんまく)という特殊な膜でつつまれており、これまた一括りになっています。
筋膜はサランラップをさらに薄くしたもののようにイメージしてください。
この筋膜ですが、筋肉の疲労や緊張によって硬くなり、さらに引っ張られると刺激に対して過敏になります。
サランラップをグーッと引っ張った時のような感じです。
さらに、筋膜は先ほどのシャツの作用のように、
つながりさえあれば違う場所の筋膜まで引っ張るように影響します。
体の構造上、
下図のように、肩から手先までは筋膜のつながりによって密接に関係しています。
(参考文献:アナトミー・トレイン第4版)
ひどい肩こりがある場合、肩の筋肉が硬く緊張していることがほとんどです。
その影響は、手先の筋膜にまで引っ張るように作用しますから、
腕や手先になんらかの症状が感じられることも不思議ではありません。
↑熱したウインナーの外の皮が筋膜、中身が筋肉だとしたら、
まさに中身が膨れて外の皮は引っ張られています。
引っ張られて硬くなった外の皮は刺激が続くと今にもはちきれそうですよね。
Iさんの筋膜も、このように緊急性のある状態だったのです。
この度Iさんは、左側の腕や手先に痺れを感じられていましたが、
お体を検査すると、やはり左側の肩から腕、そして肘周りの筋肉がカチカチになり、
特に肘関節の動きが制限されていました。
さらにお話を伺っていくと、
・職場では人員不足が続き、この半年ほどでデスクワークの時間が急激に増えていた
・右手はマウス操作で動かすけれど、左腕は、肘辺りをデスクの角に押し当てたままほとんど動かさない
・座っていると、デスクに置いている左腕にむかって上体が傾いていることを同僚に指摘された
そのような情報を得ることができましたが、
疲労困憊ながらも、お忙しく大変な期間が続いておられ、心配になりました。
実際にお体全体を診ていくと、骨盤(こつばん)や背骨(せぼね)が左側へ傾いたり、
場所によっては左後方へねじれるように癖づいていました。
こういった状態のままでは、お体には無意識に踏ん張るようなストレスがかかり、
その踏ん張りによって筋肉がかたくなってしまい、そういった場所では血流が悪くなります。
そうすると、ゆくゆくには全身の血液循環が悪くなっていきます。
血の中には「栄養」や「酸素」が含まれており、全身のすみずみまで血液が行きとどくことで、
お体は良い状態に保たれています。
ですが、血流の悪いところでは「栄養」や「酸素」が不足してしまいます。
痛みや痺れといった症状を感じやすくなり、筋肉のコリや硬さが回復しないままになります。
どうやらIさんのお体では、特に左半身にはそういったストレスが半年以上続いていたようですから、
手先に痺れを感じるようになったことも、無理のないことだったはずです。
本当によく耐えておられました。
・治療概要として
①全身を整体し、骨盤や背骨を中心にゆがみやねじれを取りのぞきました。
②左側の肩や手先までの筋肉、そして筋膜に対して、微弱電流治療器(NEUBOXニューボックス)を
使用して炎症や腫(は)れをなくし、筋肉の感触を、右側の腕と同等程度になるように合わせていきました。
③肘の関節を中心に手首や肩の関節を整体し、各関節の動きをなめらかにしていきました。
※「痺れ」=「神経の圧迫や神経自体の病態」と認識をお持ちの方も多いように思います。
この度のお悩みに関しては、神経が直接関係している兆候は検査上見つかりませんでした。
強い違和感や、これまでに感じ得たことのない感覚に対し、「痺れ」と表現されたのではないかと推測しています。
しかし、色んな不安をよぎらせたことは事実です。
改善されて気持ちもスッキリされたようでしたから、本当によかったです。
治療期間と治療のペースですが、
初回から3回目の治療は1週間に1回、4回目の治療は3回目の通院から2週間後、
5回目は4回目から3週間後という治療計画を組み、約2ヶ月半の治療期間で痺れはすっかり良くなりました。
そして、自宅や職場では、ある取り組みを実践していただきました。
肩こりや手先の痺れを解消するための簡単ストレッチをご紹介します!
ここからは、Iさんにお願いした取り組みをご紹介していきます。
今からでもさっそく取り掛かることができて、
それでいて大変効果の高いストレッチを2種類お伝えしていきます。
ひどい肩こりや首の痛み、頭痛、腕が上がらない、
そのようにお悩みの方にもぜひ取り組んでいただきたい方法となっています。
ご自身だけでなく、まわりの方々にもぜひ教えてあげましょう。
①腕から首のつながりをまるごとストレッチ
画像を真似てポーズを作っていただくだけで、肩こりや痺れの解消に効果的なストレッチとなります。
意識するポイントと手順ですが、
⑴肘はできるだけまっすぐ伸ばし、手のひらをしっかりと開いて壁に面する
⑵腕は肩の高さ、床と並行に
⑶背すじをゆっくり伸ばす(背中が丸くなると効果が出にくい)
⑷無理のない範囲で、伸ばした腕と反対方向に顔を向けていく
このまま20秒間、深呼吸をしながら体勢をキープします。
また、⑴の時に指先の向きを上下逆にするとストレッチのかかるポイントが変わります。
満遍なくストレッチがかかるほうが良いので、20秒ずつ向きを変えてストレッチをしてみることもオススメです。
可能であれば1時間に一回を目安に、少なくても朝昼晩の3回を目標に、まずは5日間継続しましょう。
②脇腹(わきばら)のストレッチ
脇腹には、腕と骨盤をつなぐ筋肉がついています。
姿勢がかたむいて悪くなっていたり、骨盤や背骨がゆがんでいたりする時には、
このあたりが緊張して硬くなっていることがよくあります。
そのままにしておくと腕の動きが制限されたままになり、筋肉が硬くなり血流も悪くなっていきます。
肩こりの治療にも欠かせない場所だったりします。
手順ですが、
⑴画像のようにポーズをとり、左肘を右手で右方向に引く
(右図のように、肘を持ちにくい時はとどきやすいところで大丈夫です)
⑵左腕が止まったところで胸を張って姿勢をまっすぐにする
⑶そのまま少し上体を右に倒す
倒したまま20秒間、深呼吸をしながら伸ばしていきます。
コツとしては、⑶の時、左側の肩甲骨や脇腹あたりを左方向へ突き出すようにすると、
ストレッチがかかっていることを実感しやすいと思います。
こちらも、朝昼晩の3回を目標に取り組んでいただきたいです。
注意していただきたいことは、ストレッチは強い方が効くというわけではありません。
心地良さを感じられるぐらいの加減で続けてください。
また、呼吸が止まらないように意識してくださいね。
Iさんはすごく真面目に取り組んでくださっており、その効果もしっかりと実感されています。
ふたつでたった40秒の取り組みです。
1分もかからずにできるストレッチですから、ぜひ実践してみてください。
最後に
ここまでご覧いただきありがとうございます。
この度のブログでは、
左側の手先の痺れ、肩こりの改善事例をもとに、
・筋肉および筋膜の繋がりが影響するケースがあること
・当院での治療法
・痺れのとらえ方は人それぞれ
・早期改善のために患者さんに取り組んでいただいたストレッチ
そういった内容に触れさせていただきました。
この度ご紹介したストレッチをぜひ試していただき、
肩こりや手先の痺れといったお悩みが少しでも楽になれば幸いです。
しかし、今回ご紹介のストレッチをするだけでは、良くならないことももちろんあります。
そういった場合には、何か他の原因が隠れていることが多いです。
お悩みや心配が大きくなるようでしたら、ぜひ当院へご相談ください。
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(監修 柔道整復師 鍼灸師 石田将太郎)