「毎朝、起きる時の腰痛がたまらなく辛い」
「寝相は悪くないはずなのに、何が原因になっているのでしょうか」
先日来られた50代女性の患者さんからそのようにご相談をいただきました。
さらに詳しく伺っていくと、
「最近痛みが引かなくなってきて不安です」
「以前は起きてから30分ぐらいでマシになっていたんですが、最近1時間経っても痛いままで…」
このまま痛みがずっと続くようになってしまうのではないか…
そのような不安が大きくなり、当院へお越しになられました。
腰痛にお困りの方であれば、起床時の腰痛を経験されている方は多いのではないでしょうか。
そして、同じような不安を抱えられている方もおられるはずです。
そこで今回は、起床時の腰痛についてブログを書きました。
また、当院では50代の女性から同様のご相談を受けることが多いというデータが出ておりましたので、
そういった関係性にも触れるようにしました。
腰痛で起床時にお困りがある方、または、ご家族にそういったお悩みを抱える方がおられるようであれば、
ぜひこの度のブログをお役立てください。
◯50代女性に起床時腰痛が多い?
こんにちは。
愛媛県西条市でいしだ鍼灸整骨院を開業しています、院長の石田将太郎(いしだしょうたろう)です。
決して他人事のように言うつもりはありませんが、
主婦の朝は本当に大忙しで、さらにお仕事をされているとなれば1分1秒が惜しいはずです。
なのに、腰が痛くてなかなか起き上がれない、痛みで動き出すまでに時間がかかる。
そうなれば朝は特別に憂鬱で、辛い時間になっていることと思います。
家事やお子さんのお世話で自分のことは後回しになる毎日。
気づけば時計の日付が変わっていることがほとんどだと思います。
不十分な睡眠時間のせいで、疲れが抜けないまま朝を迎えていないでしょうか。
このままでは腰痛が良くなる気がしないですよね。
不安が大きくなることも無理はありません。
この度のブログでは原因や解消法をご紹介していますので、ぜひ最後までご覧になっていただきたいと思います。
そして、辛い起床時の腰痛が少しでも良くなっていただければ幸いです。
◯起床時腰痛の原因はどこにある?チェック項目をお伝えします
ここでは物理的な影響として、寝具の状態をチェックしていただきます。
どうしてその必要があるのかは、後述で詳しく説明していきたいと思います。
まずは一度、ご自身の寝具を細かく観察してみましょう。
①ベッドやマットレスを使用している場合
5年以上同じベッドやマットレスを使用しているようであれば、
もしかしたらお体の形に合わせた凹みや沈みがあるかもしれません。
腰やお尻あたりにだけ、そのようになっている場合は特に注意が必要です。
それはほんの少しの変化かもしれませんが、もし見つけた場合には交換や何らかの対策をおすすめします。
②布団を直敷きで寝ている場合
経年変化で硬くなっている、または薄くなっている可能性があれば、
交換する、もしくはもう一枚敷き布団を重ねてボリュームを出してみましょう。
③枕が気になる場合
巷にはさまざまな種類の枕がありますよね。
奮発してオーダーメイドの枕を作られた方もおられると思います。
私も患者さんから枕についてアドバイスを求められることがありますが、
みなさんには決まった答えをお伝えするようにしています。
決して複雑なことではありません。
「まずその枕に仰向け(上向き)で寝てみて、そのまま唾をゴクンと飲み込んでいただきます。
その時、スムーズに飲み込みができる、唾の飲み込みがしやすい、そう感じた枕がいいですよ」
というような説明です。
実際に色々な枕でこの実験をしてみると、飲み込みやすさに差があります。
おもしろいのでぜひ一度お試しください。安価な枕でも、ビタッとはまるものがあるかもしれません。
(当院ではバスタオルとヘアゴムさえあればできる、手作り整体枕の作り方をお伝えしています。
ご興味のある方はご連絡、または公式LINEよりメッセージをください)
まずは上記①〜③をチェックしてみてください。
内容に当てはまる場合は、早急に対応することをおすすめします。
とはいえ、マットの交換などは簡単なことではありませんよね。
低反発?高反発?などなど…
細かなアドバイスが必要であれば個別でご対応しますので、お気軽にご連絡ください。
◯ご質問には当院の公式LINEをご利用ください◯
「ブログを読んだ。寝具や腰痛のことで聞きたい」
そのようにメーセージをいただければ対応いたします。
◯寝相と起床時腰痛の関係とは?
起床時腰痛にお困りの方には共通認識がありました。
もしかしたら今ブログをご覧の方にも当てはまることかもしれません。
それは、
「私、全然寝返りをしてない気がするんです」
またはこれに近い内容のご意見で、寝相が良いというより、朝までほとんど動いていないように感じているとのこと。
子どもは寝ている間に何度も寝返りをしますよね。
ちなみにGoogleで検索してみると、
「健康な大人の場合一晩に打つ寝返りの回数は10〜30回、
平均的には20回前後」と出てきます。
では対極のお話として、「褥瘡(じょくそう)」という状態をご存知でしょうか。
「床ずれ」とも呼ばれています。
↑こちらから褥瘡の様子を見ることができますが、ショッキングな画像もありますので自己責任でお願いいたします。
自宅介護のご高齢者さんがおられる方はご存知かもしれませんが、
皮膚や組織が傷つき、場合によっては腐敗してしまうようなひどい状態になることもあります。
寝返りが自力で打てなくなって、体動の管理ができないままでいると、
体の一部分に圧力がかかり続けることによって起こるものです。
特に、骨が近くにある体の部分(例えばお尻やかかとなど)が、床やベッドに長時間押し付けられると、
その部分の皮膚や、さらにはその下の組織の血流が悪くなります。
私たちの体は「栄養」「酸素」「刺激」という3つの要素によって良い状態が保たれています。
もちろん、関節や筋肉、靱帯(じんたい)、あらゆる全てに必要な要素です。
そして、「栄養」や「酸素」は血流によって全身に行き届いています。
褥瘡は、一部分にかかり続けた圧力によって血流(血の巡り)が悪くなった状態ですが、
その部分には「栄養」や「酸素」が供給されない状態が続くことになります。
さらには、押しつぶされるように外力を受け続けることになるので、やがてケガのようになって気付くことになります。
ではなぜここで褥瘡について触させていただいたたかというお話ですが、
就寝中に体動(寝返りを含む)をしなくなると、
褥瘡を起こす時と同様の身体ストレスがかかるということになります。
全く体を動かさないわけではないので、褥瘡のような皮膚変化があらわれることはほとんどありません。
しかしながら、腰まわりや骨盤のあたりは褥瘡の好発部位とされています。
つまり、血の巡りが悪くなることで周辺の筋肉や関節には大きなストレスがかかっていることがわかります。
睡眠中に腰や骨盤まわりの筋肉の状態が悪くなっていることが考えられれば、
起床時に腰痛を感じることも無理のないことだったかもしれません。
◯50代女性が起床時腰痛に悩む理由とは?
では、どうして睡眠中の体動や寝返りの回数やが減ってしまうのでしょうか。
それには50代女性の身体特徴が関係しているのではないかと考えています。
その中でも、①筋力低下・②ホルモンの関係・③体の柔軟性の低下、
こういった3つの影響が関係していると推測しています。
個人差はありますが、閉経が関係していくことでホルモンバランスが変化します。
特に女性ホルモンが低下していくことで、筋肉が硬くなり、関節などは柔軟性を欠くようになっていきます。
また、定期的な運動や筋トレをしていない場合には筋力が著しく低下していきます。
このようなお体の様子では、臥位(寝ている姿勢)の状態で体動することが負担になりかねません。
実際に寝返る時には、骨盤部分や下肢を大きく動かすことになるのですが、
骨盤は体の中でも一番重量のある骨組みであり、さらに、骨盤の中には内臓などの組織がぎっしりと詰まっています。
全身に対する質量比較はおよそ、骨盤群15%、両下肢で16〜18%と言われています。
つまり体重が45kgの方であればおよそ15kg、2リットルのペットボトルだと7〜8本分でしょうか。
このような重さを無意識に動かしていくことになります。
また、立位や坐位と違い、臥位では重力の影響を全身に受けますので、負担はさらに大きくなります。
このように考えると、寝返りは単純な動作ではないことがわかりますし、
筋肉、関節にかかる負担は想像以上に大きいものだと考えています。
知らず知らずのうちに、睡眠中の寝返りや体動が少なくなっていくことも、
無理のないことだったのかもしれません。
もしもマットレスやベッドの老朽化や経年変化の影響で、寝具に体がはまり込むような状態になっていたとすれば、
それはもう、寝返りを打つことは至難の業になっているのかもしれませんよね。
先述に戻り、一度寝具の様子をチェックしてみましょう。
何か気になることやご質問があればいつでもご相談くださいね。
◯パート②へ続きます
ここまでご覧いただきありがとうございました。
今回は50代女性の起床時腰痛について、
私の臨床経験をもとに原因や推測を書かせていただきました。
物理的な影響が関係している場合には、寝具の見直しで解消できる可能性もあります。
次回パート②では、寝返りや睡眠中の体動がしやすくなるお体へと導く方法を踏まえ、
起床時腰痛の解消法をお伝えしていきます。
閉経やホルモンバランスの関係には個人差があります。
年齢に関係なく、起床時の腰痛にお困りの方はぜひご覧いただければ幸いです。
(監修 柔道整復師 鍼灸師 石田将太郎)