「休んだほうがいいのは分かる。でも、走るのをやめたくない…」
「寝て起きても、腰やお尻になんとなく痛みが残っている…」
「走っている最中はむしろ楽になるから、つい走り続けてしまう…」
そのようなお悩みはありませんか?
一般的に、秋から冬にかけては各地でマラソン大会が多く開かれる時期と言われています。目標の大会に向けて距離を積みたいこの季節に、腰やお尻に痛みが出てくると、「休むべきか、走っていいのか」と迷ってしまうと思います。
今日は、腰やお尻が痛いときに、走るのを「止める・続ける・再開する」の目安についてのお話です。

「走りながら治したい」その気持ちを大切にしています
こんにちは。愛媛県西条市のいしだ鍼灸整骨院、院長の石田将太郎(いしだしょうたろう)です。
ランナーの方とお話ししていると、多くの方が「できれば走るのをやめたくない」「走りながら治したい」とおっしゃいます。練習を一度止めてしまうと、せっかく積み上げてきたものが崩れてしまうような気がする。そのお気持ちは、私もよく分かります。
ですから当院では、できる限り走りながら治すことを前提に、治療計画を組み立てていきます。
ただし、専門家として、状態によっては一時的にランニングを止めていただく判断(ドクターストップ)をお願いすることもあります。それは「走らせたくない」からではなく、改善への近道として、そしてランニング人生を長く続けていただくための判断です。
では、どういうときに止めて、どういうときなら続けてよくて、いつ再開すればいいのか。当院でお伝えしている目安を、順番にご紹介していきます。
まず知っておきたい「止める」サイン
「どこまでなら走っていいのか」は、ランナーの方からいちばん多くいただく質問のひとつです。当院では、次のようなサインがあるときは、一度ランニングの負荷や時間を制限していただいたり、ストップしていただくようにお伝えしています。
走った後や、翌日に痛みが悪化する
走り終わった後や、その翌日に痛みが強くなっている。これは、今の体にとって走る負担が大きすぎるというサインだと考えています。
「走っているうちに温まって楽になったから大丈夫」と思っても、走った後や翌日に悪化しているなら、一度立ち止まってみてください。その日のランニングは、時間もペースも予定の2/3程度に抑えていただきます。そして翌日の変化を見て、症状が軽減しているなら抑えた負荷で3日間継続していただき、さらに症状が軽減していくのを待ちましょう。
もし、マックスの痛みの翌日に予定の2/3程度に抑えても変化がなかった場合に、その翌日は1/2に抑えて同様に経過観察をしていただきます。
ちなみに、走り出してすぐに激しい痛みを伴ってしまうとか、1/2に抑えて走っているが何日経ってもそれ以上の変化がないとわかった場合には、ズルズルと引きずってフォームが崩れたりフラストレーションが溜まったりするぐらいなら、治療を優先する方が絶対にいいと私は考えています。
朝に強い痛みやしびれを感じる
朝起きた瞬間に、腰やお尻、足にかけて強い痛みやしびれを感じる。この場合、一度ストップをおすすめしています。ですが、起床時から時間が経てばマシンあるようであれば、上記のようにランニング負荷をコントロールしてもらうようにし、治療の必要性までジャッジしていただきたいです。
しびれは、お尻の奥を通る坐骨神経(腰からお尻、足の裏側へと伸びる神経。一般的には、体の中でいちばん太い神経と言われています)が刺激されているサインのことがあります。神経が過敏になっているときに走り続けると、症状を長引かせてしまう可能性があります。
歩くなど、日常生活に支障が出ている
歩くのがつらい、仕事や家事に差し支える。そういった状態であれば、まずは3日間、ランニングをお休みしていただき、その間は治療を続けることをおすすめしています。
「3日も休んだら走れなくなるのでは」と心配になるかもしれません。ですが、日常生活に支障が出ている状態で走り続けるほうが、結果として走れない期間を長くしてしまうことがあります。
「走っていると楽になる」は要注意
よく聞くお声なのですが、走っている最中に痛みが軽くなるからといって、安心はできません。
走ると少しずつ楽になるので、だましだまし続けていたら、2週間ほどたったある日、これまでにない激しい腰の痛みに襲われた——。実際に、そういった経過で来院されたランナーの方もいらっしゃいます。この方のお話は、後ほど少しだけご紹介します。
走っている間に楽になっても、走った後や翌朝に痛みが残る、あるいは日に日に強くなっているなら、それは体からのサインだと受け止めていただけたらと思います。
特に、骨格の歪み(姿勢の崩れ)や左右の四肢のアンバランス、股関節や抗重力筋を支配する神経系のトラブルが多く、当院ではそういったお体の調整で患者さんから喜びの声を多数いただいております。

「続ける」の判断基準とやらないでほしいセルフケア
ストップのサインがなく、走りながら治していく場合でも、気をつけていただきたいことがあります。
片足荷重による身体評価
痛みが強い期間は、ストレッチや軽いジョグにも注意が必要です。
具体的には、歩くだけでも激痛があるなら問答無用で休みましょう。さすがに走る気にもならないはずです。
片足ケンケン→両足での軽いジャンピング→片足立ちの順でチェックしていき、片足立ちが7秒間ビタッと静止できない場合や、片足ケンケン・両足での軽いジャンピングともに痛みを伴ってしまうなら思い切って休んでしまう方がいいと考えています。
「動いて治そう」「伸ばして治そう」という発想は、痛みが強い時期には逆効果になりがちです。ストレッチをするなら、気持ちの良い程度にとどめておきましょう。ポーズをとるだけで痛むようなら、その時点でやめてください。
ボールでグリグリ・見た目の派手なストレッチ・痛む場所へのマッサージガン
お尻をぐいぐい伸ばす派手なストレッチや、ゴルフボール・テニスボールでお尻をグリグリ刺激する方法。ランナーの方の中には、習慣にしている方も多いのではないでしょうか。
ですが、過敏になった神経(坐骨神経や大腿神経など)への強い刺激は、火に油を注ぐようなものだと私は考えています。かえって悪化させたり、慢性化のきっかけになったりするケースが多いんです。
他にも、マッサージガンの使用によって筋肉や関節を痛めてしまっているランナーが増えているように感じています。「そういえばリカバリーにと使っているけど…」このように思う節があるようでしたら、一度使用を中止してみてください。
痛みが出ているときのセルフケアは、「足す」より「引く」。強い刺激を加えるより、刺激しない工夫のほうを大切にお願いします。
3日ほど試して変化がなければ、やめる勇気も
セルフケアの方法は、本やインターネットにたくさん紹介されています。どれも試してみたくなると思いますが、3日ほど試して変化がなければ、思い切ってやめる勇気も必要だと考えています。
「効いている気がしないけれど、続ければそのうち…」と続けているうちに、痛みが長引いてしまう方もいらっしゃいます。
日常の歩き方で、神経を刺激しない
走りながら治していく期間は、走っていない時間の過ごし方も大切です。痛みが出ているときにお伝えしている、歩き方の工夫です。
- 歩き出しは、症状のない側の足から(とくに段差や階段で)
- 歩幅は少しだけ狭くする
- 地面を擦ったり、パタパタ足音を立てたりせず、やわらかく足を着く
- お腹と背中をくっつけるイメージで、重心を高くして歩く
反対に、つま先立ちやスリッパでの歩行、足音を立てる歩き方は足に負担がかかりやすいので、気をつけたいところです。
ご自宅でできるセルフケアの詳しいやり方は、こちらの記事にまとめています。
▼ 梅雨どきから初夏のお尻の痛み・坐骨神経痛|家でできる対処法と、やってはいけないこと
https://ishida-saijo.com/?p=6950

「再開する」目安は、痛みのピークから半分
一度ストップした後、「いつから走っていいのか」も迷うところだと思います。当院でお伝えしている目安はこうです。
痛みのピークが半分くらいまで落ち着いたら
いちばん痛かったときを10とすると、それが6〜5くらいまで落ち着いたところが、再開を考えるタイミングです。痛みがゼロになるまで待つ必要はありません。もちろん全力走行の再開ではないです。ご自身の希望通りのスピードや距離を走ることは控え、計画的に戻していくことが大切です。
試し走りは、いつもの3分の1〜半分から
再開するときは、いきなりいつものペースに戻すのではなく、いつもの3分の1〜半分ほどのスピードと距離で、試し走りから始めてください。
たとえば、ふだん10kmを走っている方なら、まずは3〜5kmくらい。ペースも、いつもよりぐっと落としてみてください。
大会が近いと、「早く距離を戻さないと」と焦ってしまうと思います。ですが、ここで一気に戻して痛みがぶり返すと、また止めるところからのやり直しになってしまいます。
試し走りの後も、走った後と翌日を確かめる
試し走りをした後も、先ほどの「止める」サインを思い出してください。走った後や翌日に悪化していないか、朝に強い痛みやしびれが出ていないか。サインがなければ、少しずつ距離とスピードを戻していきます。サインが出たら、もう一度立ち止まってください。
見落としがちな「走った後の一杯」
走ること以外で、ランナーの方にお伝えしていることがもうひとつあります。お酒との付き合い方です。
耳の痛いお話かもしれませんが、すごく大切なことと認識いただけると嬉しいです。
チームの練習の後に、仲間と冷たい一杯。最高のリフレッシュだと思いますし、その楽しみを否定するつもりはまったくありません。

ただ、普段より強度の高いトレーニングの後に、多めの飲酒が重なると、内臓、特に肝臓に負担がかかりやすくなります。医学的にも、内臓が疲れると、その近くの背中や腰、お尻の筋肉が硬くなることはわかっています。
ましてや、ハーフやフルマラソンを走った後の飲酒は、ある意味自傷行為とも言えるんです。
早く治したいなら、まずは短期間の休肝もおすすめ
痛みがあって早く治したいときは、まずは3日〜1週間ほど、お酒をお休み(休肝)していただくのがよいと思います。
飲むなら、チェイサーをお酒と同じ量だけ
そのうえで、どうしても飲む場合や、再発を防ぐためにおすすめしているのが、チェイサー(和らぎ水)をお酒と同じ量だけ用意するという習慣です。お酒を一杯頼んだら、お水も一杯。
楽しみは続けながら、体もいたわる。その両立を目指した工夫です。
2人のランナーのお話
ここで、当院に来られた2人のランナーの方のお話を、ごく短くご紹介します。
50代・医療事務のランナーさん
フルマラソンを5時間以内で走る50代の女性で、梅雨になると決まって右のお尻が痛くなっていた方です。原因のひとつは意外にも足の小指の動きにあり、約3か月で、ランニングも日常生活も支障のない状態になられました。
▼ 詳しい経過はこちら
https://ishida-saijo.com/?p=6950
30代・スポーツ店勤務のランナーさん
週に3〜4日、10kmほどを走る30代の女性で、走ると楽になるのでだましだまし続けていたところ、激しい腰痛で来院された方です。3日間の治療と休肝で鎮痛剤がいらなくなり、その後チーム練習の翌日に痛みがぶり返したときも、その日のうちの治療でほぼ軽快しました。
▼ 詳しい経過はこちら
https://ishida-saijo.com/?p=7049
※いずれも、その方の場合の経過です。痛みの程度や背景、回復の早さには個人差があり、同じ経過をお約束するものではありません。
「自分で何とかする」の限界点とは?餅は餅屋へ
ここまで、止める・続ける・再開するの目安をお伝えしてきました。休む日を決めること、セルフケアを引き算にすること、お酒との付き合い方を見直すこと。これらは、ご自分でも工夫できることです。
一方で、骨格の歪みや重心の偏りを、自分で調整するのはとても難しいのが正直なところです。先ほどの50代のランナーさんのように、痛む場所とは離れた足の小指に引き金が見つかることもあります。痛い場所だけを見ていると、なかなか気づけません。
「走りたい」というお気持ちは、できる限り大切にしたいと思っています。ただ、それをおひとりで叶えていくのは難しい場合が本当にあるので、無理を重ねる前に、どうか頼っていただけたらと思います。
大会シーズンを、痛みの不安なく走るために
走った後や翌日に悪化する。朝に強い痛みやしびれがある。日常生活に支障が出ている。そういったサインがあるときは、一度立ち止まってください。そして、痛みのピークが半分まで落ち着いたら、いつもの3分の1〜半分と、少しずつ戻していきましょう。
この記事の目安を守って3〜4日ほど過ごしてみても変化がないとき、あるいは「止めるべきか続けていいのか、自分では判断がつかない」というときは、一度当院へご相談ください。お一人おひとりの体と目標に合わせて、できる限り走りながら治す計画を一緒に考えていきます。
なお、足の裏の痛みについてはこちらの記事にまとめています。
▼ 足の裏の痛みについてはこちら
https://ishida-saijo.com/?p=7277
走る時間も、走った後の一杯も、仲間との時間も、これからも長く楽しんでいけるように。お悩みを解決できるよう、お手伝いいたします。
ご相談は、お電話・Web予約・LINEからお受けしています。




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