「庭の落ち葉を10分ほど掃いただけで、腰が重だるくなる…」
「掃除が終わるころには、腰が痛くて真っ直ぐ立てない…」
「ちりとりでゴミを集めるたびに、腰がつらい…」
そのようなお悩みはありませんか?
秋が深まると、庭や玄関先には毎日のように落ち葉がたまります。朝のうちにサッと掃いておかないと、なんだか落ち着かない。そういった方も多いと思います。
ですが、その「サッと」のつもりの掃き掃除は、じつは腰にとっては思っている以上の大仕事かもしれません。
今日は、とても身近な家事、掃き掃除と腰痛のお話です。

義母の腰痛から生まれたお話です
こんにちは。愛媛県西条市のいしだ鍼灸整骨院、院長の石田将太郎(いしだしょうたろう)です。
じつはこのお話、私の義母(妻のお母さん)の腰痛がきっかけで生まれました。
義母は、何事にも全力投球。勢いにまかせて、ガンガン進めていく、とても豪快でパワフルな人です。
ただ、柔軟性や筋力が少しずつ落ちてくるお年頃に、その勢いのまま体を動かして、衝撃をまともに受け止めているんだから……。そう考えると、腰が痛くなるのも無理はありません。
そこで義母には、掃き掃除のときの「体の使い方」を覚えてもらいました。その方法が、今日ご紹介する「受け流しフォーム」です。
あなたのまわりにも、義母のように「つい勢いでやってしまう」という方はいらっしゃいませんか?
もしかしたら、あなたご自身がそうかもしれません。
掃き掃除で腰が痛くなる「あるある」
当院では、60代の女性から、掃き掃除の後の腰の重だるさや痛みについてご相談をいただくことがあります。お話を伺っていると、よく見られる「あるある」があります。
あなたは、いくつ当てはまりますか?
- 箒(ほうき)の柄が短いため、前かがみのまま長い時間掃いている
- 一度にできるだけ広い範囲を掃こうとして、腰をひねって手を伸ばしている
- いつも片手だけ、いつも同じ方向に掃いている
- ちりとりでゴミを集めるとき、深い中腰の姿勢になっている
どれも、毎日の掃除の中でごく自然にやっていることばかりだと思います。ですが、この一つひとつが、少しずつ腰に負担をためていきます。
「たかが掃除」じゃない理由
「掃き掃除なんて、軽い作業でしょう?」
そう思われるかもしれません。では、なぜ掃き掃除で腰が痛くなるのでしょうか。
前かがみ・中腰の姿勢が続く
いちばんの理由は、姿勢です。
掃き掃除は、前かがみや中腰の姿勢が続きやすい作業です。上体を前に倒したままの姿勢では、腰の筋肉(背骨に沿って縦に走る、体を支える筋肉)がずっと踏ん張り続けることになります。一般的には、筋肉が緊張し続けると血流も悪くなりやすいと言われています。
箒の柄が短いと、上体を大きく曲げたまま作業を続けることにもなりがちです。ちりとりでの深い中腰も同じです。

年齢による体の変化
そこに、年齢による変化も重なります。
一般的に、更年期以降の女性は、筋肉量や骨密度が少しずつ減り、お腹や背中の「支える力」が弱くなっていくと言われています。支える力が弱くなると、わずかな負担でも腰が痛みを感じやすくなります。
長年のクセによる左右差
さらに、「片手だけで掃く」「いつも同じ方向に掃く」といった長年のクセも見逃せません。同じ側ばかりを使い続けることで、腰の左右のバランスが崩れやすくなります。
掃き掃除は運動負荷の大きい作業
こうして見ていくと、掃き掃除は、思っているよりずっと運動負荷の大きい作業だとわかります。決して「たかが掃除」ではないのです。
落ち葉の季節は、掃く範囲も量も増えます。いつもの掃除のつもりで勢いよく取りかかると、腰にとっては「いつも以上の重労働」になっているかもしれません。
コツは、腰をひねらず「足を動かす」こと
では、どうすれば腰を守りながら掃き掃除ができるのでしょうか。いちばんお伝えしたいのが、「受け流しフォーム」です。
義母の、最初の掃き方
受け流しフォームを覚えてもらう前、義母がどんなふうに掃いていたかというと——。
- 腰をほぼ直角に曲げて、手先だけで短い箒をセカセカと動かす
- 右から左へ大ぶりにスイングするのに、体幹は固定したまま、腕だけで箒を動かす
まさに、勢いにまかせて全力投球の掃き方でした。あなたにも、思い当たる掃き方はありませんか?

腕だけで掃くと、横揺れを腰で受けてしまう
正面を向いたまま、腕の動きだけで箒を動かしていると、体は左右に揺れ続けます。
このとき腰は、その横揺れの反動を、まともに受け止めてしまいます。これが、短い時間の掃除でも腰が痛くなる大きな原因です。
掃く方向に、先に下半身を向けておく
コツは、腰をひねらないことです。
- 掃きたい方向に、あらかじめ下半身(足先)を向けておく
- 向きを変えたいときは、腰をねじるのではなく、足を一歩動かして、体ごと向きを変える
たったこれだけです。
足を一歩動かすことで、横揺れの衝撃を腰だけでなく体全体で受け流せるようになります。その結果、腰にためこむ負担がぐっと減ります。
※上の図は体が正面を向き、さらに、足先が進行方向と逆を向いています。
体の中に捻れ(ねじれ)が発生し、より腰に負担のかかるポジションです。
電車の揺れを思い出してみてください
もしかしたら、経験された方もいらっしゃるかもしれません。
電車やバスで立っているとき、足をそろえたまま踏ん張っていると、揺れのたびに体がぐらついてしまう。でも、揺れに合わせて足を一歩踏みかえると、すっと体が安定する。そういった感覚です。
足が動けば、揺れは体全体で吸収できます。反対に、足が止まったままだと、揺れはどこか一か所で受け止めるしかありません。掃き掃除では、その「一か所」が腰になりやすいのだと思います。
衝撃を「受け止める」のではなく、「受け流す」。それが、このフォームのポイントです。
「本当に腰がラク!」
義母にも、この動き方を実際にやってもらいました。
うまく受け流せるようになったら、ひとこと。
「本当に腰がラク!」
そう笑ってくれたときは、私もほっとしました。
※感じ方には個人差があります。
全力投球の性格はそのままに、体の使い方だけを少し変える。それだけでも、腰の負担は変わってくるのだと、あらためて感じた出来事でした。
箒の使い分けと姿勢のひと工夫
受け流しフォームとあわせて、道具と姿勢にもひと工夫してみてください。
長い箒と短い箒を使い分ける
- 広い範囲は、柄の長い箒で。前かがみにならずに掃けます
- 細かい所は、短い箒で。このとき、腰を曲げるのではなく、しゃがんで掃くようにします
ちりとりでゴミを集めるときも、深い中腰のまま粘るのではなく、しゃがんでしまったほうが腰はラクです。
股関節を折って上半身を沈めると楽にかがめる
前に傾くときは、腰から折り曲げるのではなく、股関節(足の付け根)を折ってから上体を沈めるイメージを持ってみてください。
- 膝を軽く曲げる
- 股関節から上体を倒す
- 掃除の合間に、軽く腰を伸ばす
腰だけで体を支えるのではなく、足の付け根や膝にも仕事を分けてあげる。こちらも「受け流し」と同じ考え方です。
10〜15分ごとに、休憩と水分を
手を止めて、背伸びや軽い反らしを
落ち葉の季節は、つい「全部掃いてしまおう」と頑張りがちです。ですが、長く掃くときは、10〜15分ごとに手を止めて、背伸びや軽い腰の反らしを入れてみてください。
前かがみの姿勢が続いた腰を、いったんリセットしてあげるイメージです。
汗をかいていなくても、水分補給を
秋の涼しい朝は、汗をかいた感覚があまりないかもしれません。ですが、先ほどお伝えしたように、掃き掃除は運動負荷の大きい作業です。汗をかいた感覚がなくても、体の水分は抜けていきます。こまめな水分補給も忘れないようにしましょう。
普段の体づくりって必要?

掃除のときの工夫だけでなく、普段の体づくりも気になるところだと思います。
一般的には、体幹(お腹や背中など体の中心部分)を支える力を保つこと、股関節や太ももの裏のストレッチ、ウォーキングなどの軽い運動、そして水分補給や血糖値のコントロール、睡眠といった生活習慣も、腰を守る土台になると言われています。
いきなり全部を頑張る必要はありません。できそうなことから、一つずつ取り入れてみてはいかがでしょうか。
一つひとつの対策については、以前の記事にも詳しくまとめています。あわせて参考にしてみてください。
▼【シニア女性の腰痛】掃き掃除で腰が痛くなるのはなぜ?60歳代女性に多い「あるある」と対策方法をご紹介します
https://ishida-saijo.com/?p=5388
明日の朝から試せること
ここまでのお話を、まとめておきます。
- 掃きたい方向に、先に足先を向けておく
- 向きを変えるときは、腰をひねらず足を一歩動かす
- 広い範囲は長い箒、細かい所は短い箒でしゃがんで
- 股関節から上体を傾け、膝は軽く曲げる
- 10〜15分ごとに手を止めて、背伸びと水分補給
全部を一度に完璧にしなくても大丈夫です。まずは「腰をひねらず、足を動かす」。この一つだけでも、明日の朝の掃き掃除で意識してみてください。
「ちょっと痛いな」が、ケアの始めどき
掃き掃除は、毎朝のルーティンになっている方も多いと思います。
だからこそ、「短い時間だし、まぁいいか」と我慢を続けていると、少しずつ慢性的な腰痛につながってしまうことがあります。
「年齢のせいだから仕方ない」って嫌じゃないですか?
一般的に、年齢とともに筋肉量や柔軟性が落ちていくのは、ある程度は自然なことと言われています。ですが、だからといって「腰が痛いのは年のせい」とあきらめてしまう必要はあるのでしょうか?
義母の場合も、柔軟性や筋力が落ちてくるお年頃なのは変わりません。変えたのは、体の使い方です。年齢による変化があるからこそ、腰に負担をためこまない動き方を身につけておくことが大切なのだと思います。
そして、「ちょっと痛いな」と感じたときこそ、ケアの始めどきです。無理をせず、道具とフォームのひと工夫で、大切な腰を守っていきましょう。
痛みが強い、なかなか引かない、しびれを伴うといった場合は、無理をせず一度ご相談ください。
落ち葉の季節も、毎朝の掃き掃除を気持ちよく続けられるように。お悩みを解決できるよう、お手伝いいたします。
ご相談は、お電話・Web予約・LINEからお受けしています。




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