こんにちは。愛媛県西条市のいしだ鍼灸整骨院、院長の石田将太郎(いしだ しょうたろう)です。
ようやく朝晩が過ごしやすくなってきました。ほっとひと息…のはずなのに、涼しくなってから腰の痛みが気になりはじめた、という方はいらっしゃいませんか。
- 何かに寄りかかっていないと、腰が痛くてじっと立っていられない
- 腰とお尻のつなぎ目のあたりが、ズキッとする
- 歩くのも大義(難儀)で、足の疲れもひどくなってきた

いつもと同じ立ち仕事なのに、何かにもたれかかりたくなるほど腰にこたえる。ベルトより少し下、お尻の奥のほうが痛いような気がする。疲れてくるとお尻のあたりがグラグラして、歩くのが心細くなる。
ひとつでも「あ、私かも」と思われたなら、この記事はきっとお役に立てると思います。
この痛みは、季節の変わり目や気温の低下だけが原因とは言い切れません。今日は、秋から初冬にやってくる腰痛の、意外な原因と、今日からご自宅でできるセルフケアを3つ、お伝えします。
この時期、腰の下・お尻の奥が痛む女性が増えます
夏が終わって涼しくなってくる頃、「腰が痛い」とお越しになる女性が、毎年ふえるんです。当院は開院して5年になりますが、カルテを見返すと、やはりこの時期に集まっていました。
しかも、痛む場所がよく似ています。腰の下のほう。ベルトよりも下、お尻の奥のあたりです。

なぜ、この時期なのでしょうか。診させていただいた中で共通していたのは、骨盤という「体の土台」が不安定になっていることでした。
「骨盤が不安定」とは、体の中で何が起きているの?
「骨盤のゆがみ」「骨盤の不安定性」——耳にされたことがあるかもしれません。でも、体の中では実際に何が起きているのでしょうか。
イメージしやすいのは、組体操のピラミッドです。中段の人がグラグラしていると、上に乗った人は必死にバランスをとりますよね。下の人たちは、歯を食いしばってさらに踏ん張ります。
骨盤が不安定なときの体も、これとよく似ています。腰や背中が、ずっと踏ん張り続けている状態です。その踏ん張りが積み重なって、やがてつらい腰痛に変わっていく。私はそう考えています。
特に負担が集まる「仙腸関節(せんちょうかんせつ)」とは
不安定な骨盤の中でも、特に負担が集まるポイントがあります。仙腸関節という、大きな関節です。
場所は、あなたが「痛い」と感じているベルトの下あたり。まさにそこです。

骨盤は、逆三角形をした仙骨(せんこつ)を、左右一対の腸骨(ちょうこつ)が両側から挟むようにしてできています。仙骨と腸骨のつなぎ目だから、「仙腸関節」という名前がついています。
この関節には、少し気の毒な特徴があります。つなぎ目が縦向きなので、上からの体重をまっすぐ受け止めることになるんです。
体がまっすぐ立てているときは、左右2つの仙腸関節が体重を分け合ってくれます。ところが、姿勢がほんの少し傾くと、傾いた側にばかり体重が乗ってしまいます。縦のつなぎ目に、上からグッと押し込むような力がかかる。まきを割るときの、あの感じに近いのです。
では、姿勢や立ち方を気をつければ良くなるのでしょうか。
——半分は正解です。でも、半分では足りません。実はここに、夏の終わりから続く秋の腰痛の、大事なポイントが隠れています。
夏の疲れが腰痛に変わっていくまで|先に疲れるのは内臓です
暑い夏を越えた体は、ご自分で思っているよりもずっと消耗しています。しかも、最初に疲れるのは腰や脚ではありません。
暑さがこたえるのは、まず心臓や肺、そして胃腸です。つまり、内臓が先に疲れます。冷たい飲み物ばかり、食欲が落ちる、寝苦しくて眠りが浅い…思い当たることはありませんか。
そして人の体には、命を守るための「優先順位」が備わっていると言われています。一番は脳。次に内臓です。血液や神経の働きを、まずそこへ優先して届けます。血液の中には、酸素や栄養という、体に欠かせないものが乗っていますから。その血管をコントロールしているのも、脳から指令を受けた神経です。
もちろん、筋肉や関節にも酸素と栄養、そして神経の伝達が必要です。でも夏のあいだは、脳と内臓の回復が先。筋肉や関節は、どうしても後回しになります。
その状態が何週間も続いていたわけですから、腰やお尻まわりの筋肉と関節がくたびれたままになっていても、無理のないことだったと思います。
ですから、あなたの腰が弱いわけではありません。体が、命を守るほうを選んでいただけなんです。
片足重心・かかと重心が、仙腸関節を左右に引き離す
では、その「後回しにされた筋肉と関節」が、仙腸関節にどう関わっていくのか。ここからが、いちばんお伝えしたいところです。
人は二本の足で立つようにできています。でも、疲れを引きずったままだと、どうしても片足に体重を預ける立ち方が増えていきます。
疲れたときや心細いときって、何かにもたれたくなりますよね。体も同じで、自分の中の「硬くて安定した場所」に体重を預けようとします。その代表がかかとです。「かかとに体重が乗りすぎていますよ」と言われた経験のある方も、いらっしゃるかもしれません。
こうして、片足重心・かかと重心が、いつのまにか「いつもの立ち方」になっていきます。
この立ち方が長く続くと、骨盤と脚(股関節)が外へ広がり、骨盤は後ろへ倒れた形(後傾)で、なじんでしまいます。太ももの外側だけが硬くなって脚が太く見えたり、下腹がぽっこりして見えたり。鏡の前でため息が出てしまう格好になりやすいんですよね。
そして、ここがいちばん大事なところです。脚と股関節が外へ広がる力は、そのまま「仙腸関節を左右に引き離そうとする力」に変わります。
私は、この外へ引っ張る力こそが、関節をつなぎ止めている靭帯や筋肉を傷めてしまう、いちばんの負担だと考えています。
外へ引っ張る力は、もうひとつあります。お尻の筋肉が、硬いままになっていることです。
お尻の筋肉の主な仕事の一つは、脚を外へ開くこと(外転)です。夏の疲れで硬く縮んだままだと、ご本人にそんなつもりはなくても、脚を開く力が働き続けます。つまり、夏のあいだずっと、仙腸関節はジリジリと外へ引っ張られ続けていた、ということなんです。
実際にあった例|ドラッグストア勤務の50代女性
昨年の9月下旬、ドラッグストアにお勤めの50代の女性が来院されました。訴えをそのままご紹介します。
最近、品出しよりもレジ打ちが多くて、動いていない方が辛い
レジ打ちを終えて移動しようとしたら、腰の下のほうというか、お尻との間というか、なんとも言えないんだけど、なんせ、せこい(つらい)んよ。この辺がズキーッと、差し込むように痛むときもある
「動いていない方が辛い」——立ち止まってレジに立ち続ける時間が長くなったことが、きっかけになっていました。
検査でわかったことは、次のとおりです。
- 右の仙腸関節に圧痛(押すと痛む)
- 片足重心の癖
- お尻の外側の緊張が強い
- 脚を4の字にするテスト(パトリック検査)では、開くときよりも脚を戻そうとするときの方がつらそうだった
脚を戻すときにつらい、というのが、この方の体の状態をよく表していました。外へ開いたまま固まりかけていて、閉じる働きが追いついていなかったのです。
週に1回の治療を続け、3回目で7割ほど回復。2週間後の4回目には、レジ打ち中の支障はなくなっていました。
1か月後の確認の通院時には、以前からお持ちだった「いつもの腰痛」の治療へ計画を切り替え、1年経った今でも、月に1回お越しになっています。
治療してる方が色々と調子がいいし、体が整っている方が気分がいい。治療した後のスッキリ感が良くて、本当の体はこうだってわかるようになったから治療を続けてる
そうおっしゃっていただけるのが、私にとって何よりの励みです。
(※経過は一例です。症状の感じ方や回復の経過には個人差があります。)
今日からできる3つのセルフケア|「開く」と「閉じる」のバランスを整える
ここからは、仙腸関節を安定させて、左右2つの関節のバランスを整えるセルフケアです。
体重も、動きによる負担も、2つの関節でうまく分け合えるようになると、痛みやグラグラする感じが和らいでいくことが多いです。どれも簡単ですから、今日から始めてみてください。
① 太ももの内側に力を入れる|20秒×3回
外へ開く力に対して、閉じる働きを助けます。腸骨が外へ引っ張られている状態をやわらげるのが目的です。

- 椅子に座り、両膝のあいだに、こぶしを2つ挟みます
- 太ももの力で、こぶしをギュッと挟み込みます
フルパワーでなくて大丈夫です。20秒間力を入れ続けて、5秒休む。これを3回で1セット。できれば朝・昼・晩の3回、行ってみてください。


こぶしを挟むと痛い場合があるので、クッションで代用していただいてOKです。
20秒は案外しんどいので、頑張ってくださいね。
② お尻の外側をのばす|20秒
お尻の外側が硬いと、脚と一緒に腸骨を外へ引っ張ってしまいます。やわらかくしておきましょう。
- 椅子に浅く腰かけ、足は肩幅くらいに
- のばす側の脚を、反対の脚の膝の上あたりに乗せます
- 背すじを伸ばしたまま、上体をゆっくり前へ倒します
- 20秒間、深呼吸をしながらキープ。そのあとゆっくり起こします
こちらも朝・昼・晩の3回が目標です。とくにおすすめは寝る前。朝一番よりも、朝の家事を終えたあとや、出勤前、勤務が始まる直前、お昼休みなど、体が少し動いたタイミングのほうが行いやすいと思います。

↑背中が丸くなっていると、うまくストレッチが効きません。
↓背筋(せすじ)を伸ばしてから前屈するように、少し胸を張るぐらいの感覚がいいですね。

③ 背中と脇をのばす|20秒
偏った姿勢を整えるのにも役立ちます。体の側面がのびると、腰が軽くなりやすいんです。
- タオルを肩幅くらいに持ち、ゆっくり頭の上へ腕をのばします
- タオルを両手で外へ引っ張り合いながら、上体を横へ倒していきます
- 脇の下や背中の外側にのびを感じたら、そこでストップ
- その姿勢のまま20秒間、深呼吸をしながらキープ
少しの刺激でOKです。無理に深く倒さないでください。こちらも朝・昼・晩の3回を目標に。お風呂上がりや寝る前、お勤めの方はお昼休みに。家事の合間の一息のタイミングもおすすめです。

左右の手でタオルを引っ張ることと、体を横方向へ倒す動作を同時に行います。腰痛を感じる側があるようなら、そちらは控えて、気持ちよく行える方向のみストレッチを行なってください。
ストレッチのコツ
- 決して無理をせず、「痛気持ちいい」くらいで止めてください
- 呼吸を止めないこと
- グッグッと反動をつけないほうが、しっかり伸びてくれます
3つとも、「開く」と「閉じる」のバランスを合わせることを目的にしています。後ろの2つのストレッチは、当院の患者さんにもお伝えしているものです。
やり終えたあと、なんとなく体がスッキリしている、腰が軽い、そんな感覚があった方もいらっしゃるかもしれません。
こういったセルフケアは、1回では変化を感じにくいものです。まずは3日を目標に始めてみてください。少しでも変化を感じられたら、5日、1週間と続けていただきたいと思います。
もちろん、立ち方をはじめとする姿勢にも意識を向けてくださいね。片足重心の立ち方になっていることに気づいたら、戻す。「気づいた時点で戻す」でOKです。他にも、じっとしている時間が長くなるようであれば、つま先と膝の向きを「進行方向に向けて揃える」。この意識も大切です。
よくあるご質問(Q&A)
Q. 痛むところは温めたほうがいいですか? 冷やしたほうがいいですか?
A. 一般的には、じっとしていると痛むような慢性的な痛みは、温めたほうが楽に感じやすいと言われています。ただし、ぶつけた・ひねったといったきっかけがあって、熱っぽさや腫れを感じるときは別の対応が必要です。迷われたら、無理に判断せずご相談ください。
Q. 痛いときは、歩かないほうがいいですか?
A. 一般的には、痛みが強い時期を除けば、じっと寝たままよりも動ける範囲で体を動かすほうが回復しやすいと言われています。ただ、今回のような仙腸関節の痛みは「動いていない方が辛い」ことも、「歩くのがつらい」こともあります。どちらのタイプかで過ごし方は変わりますので、ご自身の体の反応をよく見てあげてください。
Q. 骨盤ベルト(コルセット)は使ってもいいですか?
A. 骨盤ベルトは、一般的に仙腸関節まわりを支える目的で使われるものです。使っていただいて構いませんが、着ける位置ひとつで支え方が変わります。当院では正しい装着の仕方もお伝えしていますので、お気軽にお尋ねください。
3日を目安に判断してください
ただ、腰痛の原因は一つとは限りません。実際には、いくつかの原因が重なっていることのほうが多いです。ですから「仙腸関節だけが原因」とは言い切れません。
- 3日ほど続けて、痛みや重さが落ち着いていくようなら、そのまま続けてみてください
- 3日ほど続けても変化がない、あるいは痛みがだんだん強くなって困るようなら、他の原因が隠れていることもあります
我慢して乗り切るものではありませんので、一度、お体を診せていただけたらと思います。
先ほどの50代の女性も、レジ打ちの時間が増えたという生活の変化が、右の仙腸関節に集まっていました。あなたの痛みにも、あなたの生活に沿った理由があるはずです。
まとめ|秋の腰痛は、夏の疲れの続きなのかもしれません
- 涼しくなってから出てくる腰の下・お尻の奥の痛みは、夏の疲れを体が引きずっていることが背景にあることが多い
- 夏に疲れた体は、脳と内臓の回復を優先する。筋肉と関節は後回しになっている
- 疲れた体は片足重心・かかと重心になり、脚と骨盤が外へ広がって、仙腸関節を左右に引き離す
- 対策は、太ももの内側に力を入れることと、お尻の外側・背中の外側をのばすこと。「開く」と「閉じる」のバランスを整える
- まず3日。変化を感じたら5日、1週間と続ける。変わらない・悪化するなら我慢せずご相談を
あなたの腰が弱いわけではありません。夏をがんばって越えた体が、少し順番を後回しにされていただけです。この秋、気持ちよく過ごせる体を一緒に取り戻していきましょう。
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当院では、問診から検査、施術、そのあとのセルフケアや日常動作のアドバイスまで、すべて私が責任を持って対応させていただきます。立ち仕事のあとの腰痛でお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。
※本記事でご紹介した改善の経過は一例です。症状の感じ方や回復の経過には個人差があります。

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