「朝起きようとしたら膝を立てるのも一苦労でした」
「腰の痛みが引かないまま一週間になります」
今回は当院で実際にあった話をもとに、シニア女性の腰痛についてブログを書かせていただきました。
急な腰痛、長引く激しい腰痛には、もしかしたら背骨の骨折が隠れているかもしれません。
◯はじめに
こんにちは。
愛媛県西条市でいしだ鍼灸整骨院を開業しています、院長の石田将太郎(いしだしょうたろう)です。
今回のブログは、「シニア女性の急な腰痛・長引く腰痛」と「背骨の骨折」について書かせていただきました。
きっかけは、「知らない間に骨折」という言葉を耳にする機会が増えたことでした。
背骨の骨折を気付かないまま放っておくと、姿勢が悪くなったり、胃腸の働きが低下したりして、
日常生活に支障をきたす可能性が高まります。
当院では、今年一年間(令和6年)を振り返ると60〜80代の女性患者さんの中で、
3人の方が腰椎の圧迫骨折を起こされていました。
腰痛の原因が骨折だとわかれば、整骨院(鍼灸院)での施術の方向性は変わり、
その後の健康管理や生活上の注意などをお伝えすることもできます。
しかし、「腰痛」と「腰椎の骨折」との鑑別判断ができない施術者や、
骨折とは知らずに、骨折部にさらなる負荷をかけるセラピストも実は少なくありません。
これってむちゃくちゃ怖いことなんです。
そのような事実を踏まえ、シニア女性の健康増進のために今回のブログを書かせていただきました。
例えば60歳代以上の女性の方の腰痛が急激に悪化したとか、同居のおばあちゃんが急に腰を悪くされた場合には、
この度のブログを最後までご覧いただき、適切な対処が取れるようにお役立ていただければ幸いです。
◯腰椎が知らないうちに骨折する
実は、今年は4人の方が腰椎の骨折を疑うような状態で当院へ来られました。
そして、そのうち3人の方が腰椎を骨折されていました(もう一人の方は脊柱管狭窄症だったことがわかりました)。
腰椎というのは、背骨が24個のブロックのような骨組みをしている中で、
一番下から数えて5つ目までの骨を言います。
そして、シニアの方が起こしやすい腰椎の骨折は「圧迫骨折:あっぱくこっせつ」と呼ばれるもので、
ボキッと折れるのではなく、グシャッと潰されたような骨折の状態です。
突然ですが、
「知らない間に骨折」「知らないうちに骨折」
という言葉を耳にするようになった方はおられませんか?
圧迫骨折に関しては、「高齢者が転んで尻餅(しりもち)をついた時に起こる」という認識をお持ちかもしれません。
ですが、紹介した3人の患者さんはどの方も尻餅をついた試しはありませんでした。
私から「圧迫骨折の可能性があるので、この後病院に行ってレントゲンを撮ってきてください」と伝えると、
皆さん最初は口を揃えて、「骨折するようなことは何もしてない」「いつも通りのことをしていただけ」
そのようにおっしゃいました。
ですが、問診で詳しく聞いていくと「おそらくその時だろう」というタイミングがわかることがあります。
そしてそのタイミングは、確かに「いつも通りのこと」「定期的にしていること」でした。
実際に3人が腰に痛みを感じ出したタイミングは、
①米農家の作業で30kgの米袋を持ち上げることをした翌日から(普段やらない方からすると驚きですが)
②お墓の掃除中に勢いよく石段を上り下りしたその日の晩から
③ルーティンにしている踵上げ運動と椅子からの立ち上がり運動を、いつもよりハードに行ってから
このように、彼女たちからするといつもしていることであり、まさか原因になるとは思ってもいないことでした。
もしかしたら他の発生起点があったのかもしれません。
ですが、①〜③に関しては、背骨に対して負担が掛かる動作であることは事実であり、
一発で起こったというよりも、繰り返す中で徐々に骨の一部分が潰れていったのではないかとも考察しています。
私がデイサービスで仕事をしていた時の話ですが、椅子に座ったまま立てなくなった80歳代の利用者さんがおられ、
いつも通り椅子に座ったその衝撃で圧迫骨折を起こしていたことがわかりました。
その利用者さんからお話を伺うと、
「座った時になんとなく腰が痛いのは感じていた。運動の順番が来たから立とうとしたら痛くて立てなかった」
そういった具合に、明白に発生の瞬間を捉えられないことも圧迫骨折にはあります。
このようにして圧迫骨折が起こるわけですから、
「知らない間に骨折」「知らないうちに骨折」というワードが生まれてきたことも不思議ではありませんよね。
◯骨折が原因の場合にあらわれる腰痛の特徴と注意点
発生の原因は尻餅だけではなく、
振動や衝撃、持ち上げ動作による踏ん張りの繰り返しにも注意が必要ということがわかっていただけたと思います。
そして、痛み方にも特徴がありますのでお伝えします。
①痛みが徐々に強くなっていき、下半身に力が入りにくいような感覚がある
②仰向けで寝るなど、股関節や膝を伸ばす動作が特に辛い(車の乗り降りなども)
③寝返り動作によって激痛が走る(ひどい場合にはジッとして寝ていても痛みを感じる)
④寝ている姿勢から起き上がる動作とは打って変わり、体を起こした後や立ち上がってしまうと平気
特に④に関してですが、
「骨折していたら歩いたりなんかできるわけがない」という認識をお持ちの方も多いと思います。
ですが必ずともそうではありません。
背骨は周囲をたくさんの筋肉や靭帯で支えられているため、痛みのピークを越えたり、
体勢(姿勢)が安定したりしていれば歩くことが平気な場合も多いです。
ここまでに書かせていただいたことから、
年齢層、発生起点、痛み方の特徴という3つの条件に当てはまる場合には、腰椎の圧迫骨折を疑い、
迷わずお近くの病院や整形外科を受診していただくことをおすすめします。
または柔道整復師や鍼灸師といった国家資格保有者のいる機関を受診するようにおすすめしますが、
間違っても巷のマッサージ屋さんや、得体の知れない整体院へ行くことは控えてください。
そして冒頭でも触れたように、
背骨の側弯(そくわん)や円背(えんぱい:背中が丸くなって姿勢がかがんでいる状態)といった
姿勢不良を招くきっかけになり、平衡感覚の障害や、胃腸の働きを低下させることにまで繋がる可能性があります。
つまり、圧迫骨折と気付かずに放っておいたり、適切な対処やリハビリを行えないままでいたりすると、
日常生活を脅かす可能性が出てくることを覚えていてください。
◯まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
今回のブログでは、シニア女性の腰痛とアッっぱく骨折についてご紹介させていただきました。
特にお伝えしたかったことは、以下の3点です。
・知らない間に腰椎を骨折している可能性があるということ
・発生条件に当てはまるようであれば、迷わずに病院や整形外科など専門の医療機関を受診する重要性
・予後(治療後の経過や将来の健康状態)を意識し、日常生活への支障を最小限に抑える必要性
さらに、腰痛には様々な原因があり、原因が複合していることも多いことを知っていてください。
骨折でなくとも激しい痛みを伴うことや、何日も辛い症状が続くケースもあります。
例えば腎炎や膀胱炎を併発していることなどもありますし、極めて稀ですが癌の骨転移が起こっていることもあります。
「我慢していればそのうち治る」といった安易な判断には危険があります。
なおのこと迅速で正しい判断が必要になりますので、激しい痛みが3日経っても変化しないようであれば、
お近くの医療機関をお尋ねください。
また当院でも専門的な検査を行うことができますし、必要に応じた医療機関の受診先をお伝えすることもしています。
単純な腰痛の場合には施術を行いますので、心配があるようであれば一度ご相談ください。
最後になりましたが、今回のブログがお困りに対して解消の一助となっていれば幸いです。
痛みや不安から解放された清々しい生活を送っていただけることを心より祈念いたします。
◯当院の詳細について
※当院は完全予約制・自費診療専門の鍼灸整骨院です。
※施術料金
初回:12,800円(税込)
2回目以降:9,800円(税込)
もっと当院について知りたい方は、当院ホームページをご覧ください。
患者さんの声などもご紹介させていただいております。
(柔道整復師・鍼灸師 石田 将太郎 監修)