「朝ベッドから立ち上がろうとすると、右のお尻の付け根が痛む」
「買い物帰りの運転中に右側のお尻がジワジワと痛くなる」
先日来られた50代の女性患者さんからそのようなお困りを伺いました。
特にお尻と太ももの裏の境界あたりにひどい痛みを感じているようでした。
「2ヶ月前ぐらいから痛みを感じていて、最近どんどんひどくなってきた」
「動画で検索したおすすめストレッチを実践したけど、良かったのは最初だけでした」
改善のために色々と取り組みを続けられていたようで、
動画で知った太ももの裏のストレッチを一生懸命頑張られていました。
ところが、最近になって起床時の痛みが強くなり、不安になって当院へご予約をくださいました。
◯お尻の痛みでお困りの50代女性
こんにちは。愛媛県西条市にあるいしだ鍼灸整骨院の院長、石田将太郎(いしだしょうたろう)です。
実は当院の患者さんの中でも、このようなお尻の痛みにお困りの方は少なくありません。
院のカルテからわかるデータでは、特に40〜50歳代の女性に多い傾向があります。
ホルモンバランスの変化や筋力低下、お体のアンバランス、骨格の歪(ゆが)みや姿勢の影響など、
原因は人それぞれにあり、また複雑に関係し合っていると考えています。
稀にですが、ヘルニアや脊柱管狭窄症のように、特別な医療診断が必要になっている場合もあります。
辛い症状なので、日常生活に支障をきたしやすいことは事実です。
また、起床時から症状を感じるようであれば、気の滅入いることもあったのではないでしょうか。
そこでこの度は、もしかしたら同様のお困りを抱えている方がおられるのではないかと思い、
右側のお尻の痛みについて、原因や対策をブログにまとめました。
股関節の痛みや歩行時痛、立ち上がりの時に感じるお尻の痛み、そういったお困りの方にも有益な情報です。
ぜひ最後までご覧ください。
◯女性に多い右側のお尻の付け根が痛む原因とは
上記の患者さんは、ハムストリングスという太ももの裏側の筋肉のストレッチに取り組まれていました。
ネットや動画を駆使し、ご自身の痛みの原因が「坐骨結節(ざこつけっせつ)」にあることに辿り着いたのです。
実際に私が検査で触診をしたり、痛みの再現動作などを行っていただいたりしても、
確かに痛みの原因が坐骨結節にあることがわかりました。
坐骨結節とは骨盤の一番下に位置し、座っている時に体を支えている左右1対の骨の突起です。
ハムストリングスの付着部になっていて、何らかの原因で太ももの裏の筋肉がかたくなると、
坐骨結節の付着部が痛むようになることがあります。
(画像のIschial tuberosityと示されたあたりが坐骨結節)
そしてこの現象がエスカレートすると、お尻の痛みとして現れる可能性が高くなります。
ですので、ハムストリングスをストレッチして良い状態にしておくことは、
お尻の痛みを改善するためにも効果的です。
この度の患者さんは、ご自身で原因解明をされていたので、これは本当にすごいことでした。
しかしながら、ハムストリングスのストレッチに取り組まれても思うように痛みが改善されませんでした。
ではいったいなぜハムストリングスのストレッチに取り組んでも改善されなかったのでしょうか。
ここからは、改善しにくい右側のお尻の痛みの原因と、その改善方法について説明していきます。
◯お尻の付け根付近の痛みを解消する大切なポイントとは?
ここからは、お尻の付け根付近に痛みを感じている方に向けた解消法をお伝えしていきます。
特に、坐骨結節(ハムストリングス付着部)の痛みが関係しているケースです。
先述にもあるように、ハムストリングスのストレッチは大変効果的なセルフケア方法です。
しかしながら、ハムストリングスのストレッチを邪魔する存在があります。
それは「大殿筋(だいでんきん)」という名前で、お尻を縦に覆う大きな筋肉の存在でした。
実はこの大殿筋ですが、下図をご覧いただくとわかるように、
ハムストリングスの上部とわずかに重なります。
重なっている部分の解剖図を見ていくと、
大殿筋の繊維はハムストリングス(大腿二頭筋)の繊維に対し、覆い被さるように、
または巻き込むような位置関係になっています。
例えば大殿筋が硬くなっていたとすれば、
ハムストリングスには圧迫力や締め付けるような外力がかかると考察します。
巻き寿司を巻く時にフワッと優しく巻くのか、力を入れて巻くのかで、出来上がりの硬さが違いますよね。
いくらハムストリングスをストレッチしても、
大殿筋の状態が悪い(硬い)ままでは、いつまで経ってもイタチごっこの状態です。
このままでは坐骨結節にかかる負荷は消えません。
実際に先の患者さんもこのような状態でしたから、
お尻の付け根付近の痛みが2ヶ月以上続いていたことも不思議ではありませんでした。
さらに、起床時などは特に体が硬くなっているタイミングなので、
朝の起きがけに激しい痛みを感じるようになったのだと考えています。
ポイント:太ももの裏の筋肉(ハムストリングス)はお尻の筋肉の下敷きになっているため、
お尻の筋肉が硬くなると、下敷きになったハムストリングスには大きな負荷がかかる。
負荷のかかったハムストリングスの付着部が坐骨結節であり、付着部周辺に痛みが出やすくなる。
◯お尻の付け根の痛みを解消する方法
これまでの内容を踏まえ、
ここからは、効率良くお尻の付け根の痛みを解消するための方法をお伝えしていきます。
具体的には4つのストレッチをメインにお伝えしていきますが、
紹介の順番どおりに進めていただくことが大切です。
①お尻の筋肉のストレッチ
まずは大殿筋と中殿筋(ちゅうでんきん)、2種類のお尻の筋肉をストレッチしていきます。
お尻の筋肉の一部は、ハムストリングスに覆い被さるような位置関係にあるため、
先に大殿筋と中殿筋のストレッチをおこないます。
⑴大殿筋のストレッチ
座った状態で、曲げた膝を胸へ引きつける(画像①)。この時背すじをしっかりと伸ばしておきましょう。
そのまま膝の位置を少し内側へ動かすと、お尻が伸ばされている感覚が強くなると思います(画像②)。
このまま20秒間、深呼吸をしながらキープします。
体勢が辛い場合は、仰向けで寝ておこなっても問題ありません。
注意点として、反対側のお尻が浮いてこないように気をつけてください。力が分散され、効き目が軽減します。
⑵中殿筋のストレッチ
次日、中殿筋のストレッチです。
大殿筋と密接しているため、互いに硬くなっていることがあります。
画像を真似るようにポーズを取るだけでも効果があります。
コツは、背すじをしっかりと伸ばすことです。
無理をする必要はありませんが、乗せている側の下腿(膝から下)が床面と平行になるように手で押さえます。
お尻のやや外側に突っ張りが感じられたら、そのまま20秒間深呼吸をしながらキープしてください。
⇧このように椅子以外で行う方が楽な場合は、こちらで問題ありません。
ポージングの時点で辛い場合は、決して無理のないようにお願いします。
②太ももの前側の筋肉のストレッチ
筋肉には、拮抗筋(きっこうきん)という特徴的な関係性があります。
簡単に表すと、開くと閉じる、伸ばすと曲げる、といった具合に、反対作用でバランスをとっている関係性です。
太ももにつく筋肉の中では、
ハムストリングスと大腿四頭筋(だいたいしとうきん:太ももの前側の筋肉の集合体)が拮抗関係になっています。
ハムストリングスが膝を曲げる筋肉、大腿四頭筋が膝を伸ばすための筋肉、といった拮抗関係です。
もしも大腿四頭筋が硬くなっている場合には、裏側のハムストリングスも硬く緊張している可能性があります。
ですので、大腿四頭筋を柔らかくすることでハムストリングスの緊張が和らぐようになります。
そういった特徴を活かすためにも、
お尻のストレッチが終わったら、次は太ももの前の筋肉をストレッチをしましょう。
画像のようなポーズをとり、20秒間深呼吸をしながらストレッチを行うだけでOKです。
③ハムストリングスのストレッチ
最後はハムストリングスのストレッチです。
ハムストリングスは太ももの裏の筋肉の集合体のことで、
厳密には大腿二頭筋(だいたいにとうきん)と、半腱様筋(はんけんようきん)、
半膜様筋(はんまくようきん)という3つ筋肉の総称です。
大きく分けると、太ももの裏側の外側が大腿二頭筋、内側に半腱・半膜様筋が占めるといった感じです。
ハムストリングスのストレッチでは、
膝を伸ばした長座姿勢から上体を前に倒していく方法がオーソドックスと思います。
この時、下肢を一本の棒と考えて、内側にねじったまま伸ばすとハムストリングスの内側が伸びやすくなり、
反対に外側にねじって伸ばすとハムストリングスの外側を効率良くストレッチすることができます。
それぞれ20秒ずつ、深呼吸をしながらストレッチを行いましょう。
上記のストレッチを朝昼晩に1回ずつ行ってみましょう。
3日継続できれば少しずつ変化が感じられるはずです。そのまま1週間を目標に頑張ってください。
タイミング上どうしてもできない場合には、お風呂上がりと寝る前だけでも欠かさずにやってみましょう。
ストレッチのコツは、無理に伸ばさないことです。
そして、グッグッと反動をつける必要はありません。返って筋肉に刺激が入ってしまいます。
痛気持ち良いぐらいのテンションを感じたら、そのまま20秒間深呼吸をしながらキープしてください。
◯まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
この度のブログでは、50代の女性に多い右側のお尻の痛みについて紹介させていただきました。
お尻の痛みの中でも下の方、太ももとの境界あたりの痛みを訴える患者さんの声をもとに書き始めました。
・40〜50代女性に多いお尻の痛みについて
・坐骨結節のハムストリングス付着部の痛みが原因になっていることがある
・ハムストリングスのストレッチだけでは改善されないケースがある
・ハムストリングスを間接的に硬くする原因はお尻の筋肉にあった
・効率良く右側のお尻の痛みを解消する方法
そういった内容をこの度のブログでは紹介させていただきました。
もし現在、右側のお尻の痛みにお困りの方がおられれば、
紹介したストレッチを1週間継続していただきたいと思います。
ただ、「ストレッチを真面目に継続したのに、一向に改善しない」そのようなこともあるはずです。
そういった場合には、お身体の中に他の原因が隠れている場合が多いです。
例えば画像のように、真っ直ぐ座っているつもりでも片方のお尻に荷重がかかっていたりと、
お身体の傾きや歪み(ゆがみ)が原因になっているケースなどもあります。
(⇧before画像:重心が右に傾き、右側の殿部に荷重がかかっています)
セルフケアだけでは改善できないケースもあると思いますので、
その場合はお近くの専門機関や治療院などにご相談されることをおすすめします。
また、当院でもこういった症状の治療を積極的に行っています。
私のこれまでの臨床経験上、原因をしっかりと解明し、丁寧にお身体を治療することで、
改善される可能性が高いことも実際に感じています。
お近くでお困りになっている方はぜひご相談ください。
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(監修 柔道整復師 鍼灸師 石田将太郎)