なぜ箒(ほうき)を使っていると腰痛が起こるのか?
庭や敷地内の落ち葉やゴミを掃き集める――。
一見すると軽い作業に思えますが、当院では60代の女性の方から、
「10分ほど掃いただけで腰が重だるくなる」
「中腰姿勢を続けるとすぐに腰が痛くなる」
そういったご相談を受けることが多いです。
掃き掃除で腰痛が起きる理由のひとつは、やはり姿勢の負担 にあります。
掃き掃除は前かがみや中腰姿勢が続きやすく、腰椎や腰まわりの筋肉(脊柱起立筋)にストレスがかかり、
血流が悪くなることで痛みやこわばりが出てしまいます。
使用する箒の長さに付随して、上体を直角に曲げたまま作業をしている様子を見かけることもあります。
作業に夢中になると、ご自身の姿など気にする余地もありませんから、知らない間に腰に負担がかかってしまうことも、
無理のないことだったはずです。
さらに、更年期以降の女性特有の変化 も影響します。
50〜60代はホルモンバランスの変化によって筋肉量や骨密度が少しずつ減少し、
体幹(お腹や背中)の支えが弱くなる年代です。そのため、わずかな負担でも腰に痛みを感じやすくなるのです。
加えて、長年の家事や日常動作による体の使い方は深く身に馴染んでいます。
例えば「片手だけで箒を使う」「同じ方向にばかり掃く」といった習慣も、
腰の左右差や筋肉のアンバランスを強めてしまいます。
掃き掃除の「あるある」|掃き掃除による腰痛の原因
こんにちは。
愛媛県西条市でいしだ鍼灸整骨院を開業しています、院長の石田将太郎(いしだしょうたろう)です。
今回のブログは、60歳代の女性の腰痛治療をもとに書かせていただきました。
「朝から少し掃いただけで腰がズキッとした」
「掃除が終わるころには、腰が重たくて真っ直ぐ立てなくなる」
こうした経験は、腰痛を抱えるかたに共通する“あるある”だったりします。
・箒の柄が短く、前かがみのまま長時間続けてしまう
・掃き集める範囲を広く取ろうとして、腰だけを大きくひねってしまう
・片側だけで掃き続け、気づいたら腰の一部分だけに痛みが集中している
・集めたゴミをちりとりに入れるときに、深く中腰になり腰に負担をかけてしまう
「たかが掃き掃除」と思っていても、同じ動作を繰り返すうちに腰のは確実に疲労がたまっていきます。
シチュエーションごとの腰痛対策|2つの工夫がカギになる
腰痛を防ぐためには、「姿勢を守る工夫 」と「 動作の中で力を逃がす工夫」 がポイントになります。
1. 箒の長さを使い分ける
広範囲を掃くとき → 長柄の箒を使い、背すじを伸ばしたまま掃けるようにする。
ちりとりで集めるときや細かい部分を掃くとき → 短い箒を使う。
さらに、中腰を長く続けず、膝を曲げてしゃがむ姿勢を取り入れる。
道具をシーンごとに使い分けるだけで、腰を曲げる時間を減らすことができます。
2. 腰にためない“受け流しフォーム”で横揺れの衝撃を分散
掃き掃除を正面を向いたまま腕の動きだけで繰り返していると、体は横揺れを続けることになります。
一見シンプルな動作ですが、実は 腰の回旋をうまく使えず、横揺れの反動を自分の体で受け止める状態です。
その結果、腰椎や周囲の筋肉には“押し付けられるような負荷”が加わり、短時間の掃除でも腰痛が出やすくなります。
この負担を軽くするには――
・掃く方向に下半身をあえて向けておく
・腰をひねらず、足を一歩動かして体ごと方向を変える
こうすることで、腰の回旋を自然に活かせるフォームになり、横揺れによる衝撃を体全体で受け流せます。
結果として、腰にため込むストレスを大幅に減らし、痛みの予防につながるのです。
3. 姿勢を意識する
・背中を丸めず、左右の歩幅をとることや、股関節から前に倒すようにする意識を持つ
・膝を軽く曲げて重心を落とし、腰だけに負担を集中させない
・作業の合間に背伸びや軽い腰の反らしを取り入れ、血流をリセットする
4. 休憩をこまめに取る・水分補給を忘れない
「一気に終わらせたい!」と思いがちですが、長時間掃き掃除を行う場合には10〜15分ごとに一度休憩を取りましょう。
腰を軽く回す、背伸びをするなどの小さな動作でも、こわばりを防ぎやすくなります。
また、掃き掃除は想像よりも運動負荷が大きいです。
そのため、汗をかいている認識がなかったとしても、体からは水分がしっかりと抜け出しています。
筋肉や関節、そして神経の働きには水分が欠かせませんから、こまめな水分補給を心がけるようにしましょう。
日常でできる予防とセルフケア|シニア女性の腰痛対策は日常の積み重ねが基本
掃き掃除のときだけでなく、日常的な体づくりも腰痛予防には欠かせません。
・体幹トレーニング:お腹・背中の支えを強化して腰を守る力を高める
・股関節や太ももの裏のストレッチ:腰の代わりに股関節が動けるようにする
・ウォーキングなどの軽い運動:血流を良くし、疲労をためにくくする
掃除のあとには、腰を反らすストレッチや太ももの裏を伸ばすストレッチを加えると、疲労回復がスムーズになります。
他にも、こまめな水分補給、血糖値のコントロールやバランスの良い食事を心がけること、
睡眠時間をしっかりと確保すること、こういった習慣は、腰痛予防においてとても肝心なこととなります。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
50〜60歳代の女性にとって掃き掃除は身近な日常動作かもしれませんが、腰痛の原因になりやすい作業です。
・姿勢を守る
・道具を使い分ける
・“受け流しができるフォーム”で衝撃を分散する
こうした小さな工夫の積み重ねで、腰への負担は確実に減らせます。
朝の掃き掃除が毎日のルーティンワークのようになっている方も多いと思います。
「短時間だけだしまぁいいか…」と我慢して放っておくと、慢性腰痛につながる可能性も高いです。
なので、「ちょっと痛いな」と思ったときこそ、ケアを始めるタイミングです。
無理をせず、適切な方法で腰を守るようにしていきましょう。
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(監修 柔道整復師・鍼灸師 石田将太郎)