こんにちは。愛媛県西条市のいしだ鍼灸整骨院、院長の石田将太郎(いしだ しょうたろう)です。

朝晩が少しずつ過ごしやすくなり、田んぼの稲穂も色づいてきました。そろそろ稲刈りの段取りを考え始めている方も多いのではないでしょうか。
- 株まわりの作業や畦(あぜ)の手入れで、気づけばずっと中腰
- 籾(もみ)の袋や資材の持ち運びで、腰にズシッとくる
- コンバインやトラクターの振動に長時間揺られ、乗り降りのたびに「よいしょ」
- ぬかるみから、長靴を一歩一歩引き抜きながら歩く
思い当たることはありませんか? こういった負担が、稲刈りの数日間に一気に体へ押し寄せます。
そして毎年、稲刈りが終わった頃になると、腰痛や坐骨神経痛(お尻から足にかけての痛み・しびれ)でつらい思いをされる方が来院されます。
日中は会社勤めだから腰が痛いと仕事に響く
誰かに(田んぼを)譲りたくてもそう都合よく行かなくて
来年は無理かもしれない…
こうした声を、私は毎年お聞きしています。だからこそ今日は、痛くなってからの治療の話ではなく、「刈る前」にできる腰痛予防のお話をさせてください。遅くとも稲刈りの3日前から始められる、4つの運動をご紹介します。
西条の米づくりは「会社勤めをしながら、年齢を重ねた体で」が現実
西条市は、県内でも指折りの米どころです。そして西条の米づくりを支えているのは、平日は会社に勤め、休日に田んぼに立つ——そんな「二足の草鞋(わらじ)」のあなたのような方々です。
数字にも、それがはっきり表れています。2020年の農林業センサスによると、西条市で個人で農業を営む経営体2,036のうち、約7割(1,406経営体)が「副業的経営体」、つまり農業以外の仕事が主という形です。また、ふだん主に農業に従事している方(基幹的農業従事者)2,521人のうち、65歳以上は1,923人。およそ4人に3人にのぼります。(※出典:農林水産省「わがマチ・わがムラ〜市町村の姿〜」愛媛県西条市/2020年農林業センサス)
会社勤めで一週間働いた体で、あるいは年齢を重ねた体で、収穫期の集中作業に臨む。これが西条の米づくりの現実だと思います。だからこそ、体の準備をしてから稲刈りに入るという発想が大切なのです。
なぜ稲刈りで腰にくるのか?|大きな筋肉に負荷が「蓄積」する

稲刈りの作業を思い出してみてください。中腰での作業、重い物の持ち運び、コンバインやトラクターの振動と乗り降り、ぬかるみから足を引き抜く動作——。
これらの動作で働き続けているのが、腰を支える脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん=背骨に沿って走る、姿勢を保つ筋肉)、お尻の殿筋群(でんきんぐん)、股関節の付け根で体を折りたたむ腸腰筋(ちょうようきん)、太ももの前の大腿四頭筋(だいたいしとうきん)、太ももの裏のハムストリングスです。
どれも、体の中でも面積が広く、体積の大きな筋肉ばかり。ふだんの生活ではフルには使っていないこの大きな筋肉たちに、稲刈りの数日間で急激に負荷がかかり、疲労が蓄積していきます。
特にコンバインやトラクターの振動と乗り降りの衝撃は、お尻の筋肉がクッションのように受け止めてくれています。ここが硬いままだと、衝撃がじかに腰へ響きやすくなるのです。
だからこそ、あらかじめ軽い筋トレや刺激を加えて筋肉を目覚めさせておき、本番の負担を「急激」にしない。これが今日いちばんお伝えしたい予防の考え方です。
「湿布を貼って休めば治る」「いつものこと」は本当?

稲刈り後の腰痛について、患者さんからよくこんな言葉を聞きます。
痛くなったら湿布を貼って休めば治る
いつものことだから我慢していたら良くなるかなと思って
お気持ちはよく分かります。実際、若い頃はそれで乗り切れていたのかもしれません。
ただ、人の体力や筋力にはピークがあり、そこからは年々少しずつ低下していきます。同じ「いつもの稲刈り」でも、受け止める体は毎年少しずつ変わっているのです。
そしてもうひとつ、知っておいていただきたいことがあります。痛みが消えた=治った、ではないということです。
痛みをかばいながら動くと、体は無意識に別の場所で補おうとします(代償動作といいます)。この代償動作が積み重なると、骨格=姿勢の歪みが少しずつエスカレートしていきます。ご本人はそのことに気づかないまま、「なんだか年々堪えるようになったなあ」と感じるようになる——当院ではそういった経過の方を数多く診てきました。
コンバインやトラクターは、収穫が終わったら泥を落とし、点検や整備をしてから納屋にしまいますよね。酷使した体も、農機具と一緒です。しっかりとメンテナンスと手当てが必要なのです。
実際にあった例|稲刈りの1週間後に来院された兼業農家さん
当院に毎年のように来院される方の中に、会社勤めをしながら代々の米農家を続けている方がいらっしゃいます。稲刈りが終わって1週間ほど経った頃、こうおっしゃって来院されました。
1週間しても痛みが取れない。お尻あたりも痛くなってきて心配になって予約しました
この方の場合、週に1回の施術を続け、3回目には7割ほど回復。2週間後の4回目には、お尻の痛みやしびれに似た症状は消失し、腰の違和感が少し残る程度になりました。さらに2週間後の5回目には、日常生活で困ることはなくなっていました。(※経過は一例です。症状や回復のペースには個人差があります。)
回復されて本当に良かったのですが、私はいつも思うのです。そもそも、ここまでつらい思いをせずに済んだら、もっと良かったのに、と。

稲刈り前の4つの運動|遅くとも3日前から始めてください
ここからが本題です。当院が稲刈り前におすすめしたい運動は、次の4つ。どれも道具いらずで、椅子があればできるものばかりです。遅くとも稲刈りの3日前には始めてください。もちろん、1〜2週間前から始められたらより安心です。
① お腹を凹ますドローイン|10秒×5回
腰まわりを支えるお腹の筋肉を目覚めさせる運動です。
お腹をぐーっと凹ませて、凹ませたまま呼吸は止めずに10秒キープ。これを5回繰り返します。立っていても、椅子に座っていてもできます。
② 腸腰筋の抵抗運動|20秒×3回(両脚)
中腰やぬかるみ歩きで働く、股関節の付け根の筋肉「腸腰筋(ちょうようきん)」への刺激です。
腸腰筋はお腹の奥のほうにあり、いわゆる「インナーマッスル」の代名詞的な筋肉です。
椅子に座り、片方の太ももを直角より少し上まで持ち上げたところで止めます。その太ももを両手で上から押さえつけ、太ももは負けないように持ち上げ続けたまま20秒キープ。左右それぞれ3回ずつ行います。
③ 大腿四頭筋への刺激|20秒×3回(両脚)
大腿四頭筋(だいたいしとうきん)は、しゃがむ・立つ・踏ん張るを支える、太もも前の筋肉です。
椅子に座って片足を床から浮かせ、膝をまっすぐ伸ばした状態で20秒キープ。こちらも左右3回ずつです。太ももの前がじんわり効いてくるのを感じてください。
④ お尻のストレッチ|各20秒
コンバインやトラクターの振動、乗り降りの衝撃を受け止めるクッション役が、お尻の筋肉です。ここの柔軟性を高めておきましょう。
椅子に座り、片方の足首を反対の膝の上にのせて「4の字」をつくります。背すじを伸ばしたまま上半身をゆっくり前に倒し、お尻の外側〜奥がじんわり伸びたところで20秒キープ。左右行います。
お尻のストレッチは、こちらの記事でさらに詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。
→ 【右のお尻の付け根が痛い】本当のカギは”大殿筋”の硬さでした
どの運動も、痛みが出ない範囲で行ってください。すでに腰や股関節に痛みがある方は、無理をせず、まずはご相談いただければと思います。
よくあるご質問(Q&A)
Q. コルセットは着けたほうがいいですか?
A. 予防策として、稲刈りのときに使っていただいて構いません。ただ、着け方ひとつで支え方が変わります。当院では正しい装着の仕方もお伝えしていますので、お気軽にお尋ねください。
Q. 作業中に気をつけることはありますか?
A. 水分補給を怠らないことです。涼しくなってきても、稲刈りは汗をかく作業です。また、稲刈り期間中の飲酒は控えるほうがベターです。疲れた体の回復を優先してあげてください。
Q. 作業後にできるケアはありますか?
A. 入浴と、寝る前の軽いストレッチが効果的です。シャワーだけで済ませず、湯船で体を温めてから、④のお尻のストレッチなどをやさしく行って休んでください。
稲刈りが終わったあとは|「3日」を目安に判断してください
準備をしていても、腰に張りや痛みが出ることはあります。そのときの目安をお伝えします。
- 3日かけて痛みや症状が落ち着いていくようなら、そのまま様子見でOKです(体のメンテナンスは推奨します)
- 3日経っても症状が変わらない、もしくは悪化しているようなら、我慢せず治療にお越しください
当院で診ていると、1週間我慢された方は、かばう動き(代償動作)の延長で坐骨神経痛など別のトラブルまで出てきている傾向があります。冒頭の「1週間しても痛みが取れない。お尻あたりも痛くなってきて」という患者さんの言葉が、まさにそれです。我慢の1週間が、回復までの道のりを長くしてしまうのは、もったいないと思いませんか?
まとめ|今年の稲刈りは「準備してから」向かいましょう
- 稲刈りは、中腰・重量物・振動と乗り降り・ぬかるみによって、腰やお尻・太ももの大きな筋肉に負荷が蓄積する作業
- 西条の米づくりは兼業と高齢化が進んでおり(※前掲の農林業センサスより)、準備なしの集中作業は体にこたえやすい
- 遅くとも3日前から、①ドローイン ②腸腰筋 ③大腿四頭筋 ④お尻のストレッチ の4つの運動を
- 稲刈り後は3日を目安に判断。落ち着かなければ我慢せずご相談を
- 農機具と一緒で、体もメンテナンスが必要です
「来年は無理かもしれない…」ではなく、「今年も刈り終えた。まだまだいける」と思える秋になりますように。西条の米づくりを続けるあなたの体を、当院も応援しています。
ご予約・お問い合わせ|いしだ鍼灸整骨院(愛媛県西条市)
- お電話:0898-64-2633
- Web予約(24時間受付):https://ishida-saijo.com/webyoyaku
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※本記事でご紹介した改善の経過は一例です。症状の感じ方や回復の経過には個人差があります。

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