ネイルサロンや美容室で仰向けになっていて、自分のタイミングとは関係なく上体を起こされた瞬間、腰に激痛が走る…
昇降ベッドの動きに体がついていかず、思わず息を飲む…
その後しばらく体を動かせなくなって、痛む辛さと同時にサロンの方に申し訳ない気持ちになる…
やっと作れた自分の時間が、恐怖の瞬間に変わってしまう。そのような経験はありませんか?
今回の記事では、子育て世代のお母さんに多い「起き上がるときの激しい腰痛」の原因と、自宅でできるセルフケアについて解説します。
お悩みの方の参考になりましたら幸いです。

こんにちは。
愛媛県西条市で整骨院を営んでおります、いしだ鍼灸整骨院の石田将太郎(いしだしょうたろう)です。
当院では、子育て世代のお母さん、特に保育園児さんを抱えるお母さんから、腰痛のお困り相談を頻繁に受けます。
今回ご紹介するのは、40歳の女性の患者さんです。
保育園に通う2人のお子さんのお母さんで、旦那さんはお仕事で朝が早く夜も遅い。家事や子育てはほとんどワンオペ状態で、疲れが蓄積し、肩こりや頭痛のケアで月に一度来院されています。
日中は老健施設の事務として働かれていて、普段はデスクワークが多く、移動で少し歩くぐらい。そのような中、月に何度か立ち仕事が一日中続くことがあり、その後には決まって腰痛に苦しまれていました。
そして、やっと自分の時間を作れたと思って予約したネイルサロンや美容室で、冒頭のような激痛に見舞われるとご相談くださったんですね。
せっかくの自分時間に、辛い思いをされたはずです。
では、この「起き上がる瞬間の激痛」の正体は何なのか。詳しく解説していきます。
①なぜ「起き上がる瞬間」に激痛が走るのか?|骨盤の広がりと面積の大きい筋肉
結論からお伝えすると、この患者さんの腰痛には、骨盤を構成する骨組みの「広がり」が影響していました。
骨盤の後ろ側には「仙腸関節(せんちょうかんせつ)」という関節があり、ここで左右の腸骨(ちょうこつ)という大きな骨がつながっています。
妊娠や出産時からの影響、筋力低下、あるいは靭帯の支持機構の低下によって、この両側の腸骨が外側へ引っぱられるように広がり、骨盤が不安定になることがあるんです。
骨盤が不安定になると、周囲の筋肉は体を支えようとして緊張します。
特に、腸骨の上のふち(腸骨稜・ちょうこつりょう)に付着している「広背筋(こうはいきん)」や「腰方形筋(ようほうけいきん)」が刺激され、過緊張の状態に。この過緊張は、ぎっくり腰へと移行する引き金にもなります。
そして、仰向けやリクライニングでくつろぐ体勢から上体を起こすときには、まさにこの広背筋や腰方形筋の働きと安定感が欠かせません。
起き上がるという動作は、体を「安定(支え)」させながら同時に「動く」必要がある動作です。
骨盤が不安定な状態では、このバランスやタイミングが崩れて、骨盤を安定させることに比重が大きくなり、安定させたまま上体を起こしていく「動き」への余裕がない状態になってしまうんですね。
だから、サロンのベッドで不意に起こされた瞬間、息を飲むような激痛が走るんです。
さらに、広背筋や腰方形筋には「広い面積を占める筋肉」という特徴があります。
一般的に、損傷の程度よりも面積の大きさの影響が、自覚する症状の激しさに比例すると言われています。
「こんなに痛いのに大丈夫なの?」と不安になるほどの激痛も、この筋肉の面積の大きさが関係しているんですね。
②湿布を貼っても効き目を感じないのはなぜ?
腰に湿布を貼っているけど、効いている気がしない…
そのような声もよく聞きます。
これは、腰の痛みが結果論的なものだからです。
痛みを出しているのは腰でも、その大もとの原因は骨盤の広がりと、それを支える筋肉のアンバランスにあります。
痛みの原因にアプローチができていないため、痛い場所だけのケアでは一時的な気休めにしかならないことがほとんどなんですね。

③当院での対応と実際の変化
今回の患者さんには、まず、できる限り立ち仕事のシフト前に治療日を合わせていただくようにしました。
そして、骨盤帯の状態を整える治療に加えて、立ち仕事の期間に向けた自宅でのセルフケアと、立ち姿勢の注意点をお伝えしました。
内容は次の章でご紹介する、太ももの内側(内転筋や大腿四頭筋の内側)に対する抵抗運動と、お尻の外側の筋肉のストレッチです。
その甲斐もあって、今までの激しい腰痛を感じることがなくなり、起き上がりの恐怖心も改善されました。
治療は一度。2週間後、元々予定されていたメンテナンスの通院時に、こんな声をいただいています。
仕事前は不安だったけど少し痛むぐらいで大丈夫でした。いつもなら帰ってからの家事や子どものお迎えも憂鬱だったけど、今回はそんなこともなかったし、椅子からの立ち上がりとか翌日の起床時も楽でした
※症状の変化には個人差があります。
④自宅でできるセルフケア|内転筋エクササイズとお尻のストレッチ
ここからは、この患者さんにもお伝えした、自宅でできるセルフケアをご紹介します。
ポイントは、外へ広がろうとする骨盤を「内側から支える力」を活発にすることと、外側へ引っぱる「お尻の外側の筋肉の緊張」をゆるめることです。
1. クッションを膝で挟む内転筋エクササイズ
椅子に座り、クッションを膝で挟んで、10秒間力を入れたまま持続します。クッションがなければ、ご自身のこぶしを2つ挟んで代用できます。
10秒×3〜5回を、1日3回以上を目安に行ってみてください。
太ももの内側(内転筋群や大腿四頭筋の内側)を活発にして、股関節や骨盤を内側へ支える力を高めるのがねらいです。
2. お尻の外側(中殿筋・大殿筋)のストレッチ
2種類あります。どちらも20秒間伸ばします。
- 椅子に座り、伸ばしたい側の足を反対側の膝の上に乗せ、背筋(せすじ)を伸ばした状態で前に屈んでいく
- 膝を抱えて、まっすぐに下肢を胸に抱き寄せる
朝昼晩の3回と、就寝前は入念に行えるといいです。
3. 立ち方のワンポイント
立ち仕事のときは、踵(かかと)に体重が乗る傾向のある方が多いので、足の裏の中央あたりに体重が乗るような意識を持ってみてください。
また、片足重心になったままの姿勢を避けるために、適度に軽い足踏みを入れて、荷重の偏りを分散させるのもおすすめです。
⑤よくあるご質問
Q1. 腰痛を頻繁に繰り返すようになったのはなぜですか?
日常生活の負荷や、環境因子、ストレス因子の合算に対して、回復力が下回っている傾向にあるためです。
お子さんたちがもう少し大きくなるまでは、体を整えて、自己回復力を高めることも必要になっているタイミングだと思います。
Q2. 起き上がる時の激痛はなぜ起こるのですか?
骨盤と腰とをつなぐ筋肉の伸び縮みが、スムーズにいかない状態だからと考えています。
起き上がりには「安定(支え)」と「動き」を同時に行う必要があるのに、そのバランスやタイミングが崩れて、動くことに対して余裕がなくなっています。
また、広背筋や腰方形筋は広い面積を占める筋肉なので、症状を激しく自覚しやすいという特徴もあります。
まとめ|せっかくの自分時間を、安心して楽しむために
今回のまとめです。
- 起き上がる瞬間の激痛は、骨盤の広がりと、それを支える広背筋・腰方形筋の過緊張が関係していた
- 腰の痛みは結果論。痛い場所だけのケアでは一時的な気休めになりやすい
- セルフケアは「内転筋エクササイズ(10秒×3〜5回・1日3回以上)」と「お尻の外側のストレッチ(各20秒・朝昼晩+就寝前)」、そして立ち方の意識
まずは記事内のセルフケアを試してみてください。
それでも改善しない場合は、お体全体を整えることと、骨盤帯の状態や、股関節を支えるお尻の筋肉・内転筋群の状態を回復させるための治療を受けてみることはいかがでしょうか。
なお、当院では治療に集中できる環境づくりを大切にしているため、お子さん連れでのご来院はご遠慮いただいております。的確な治療は、結果として時短とお体への負担の軽減につながります。
せっかくのお時間ですので、ご自身に当てるフリーな時間、大切なお体との対話の時間として、ゆっくりお過ごしいただけたら嬉しいです。
お悩みの方は、当院のホームページからお気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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