ぎっくり腰になったらまず何をすべきか
こんにちは。
愛媛県西条市で「いしだ鍼灸整骨院」を開業しています、院長の石田将太郎(いしだしょうたろう)です。
今回のブログでは、「ぎっくり腰になってしまった直後」からはどう過ごせばいいのか、
そして、少しでも早く回復するための考え方や注意点をお伝えします。
よくある「ツボ押し」「ストレッチ」の紹介ではなく、
ぎっくり腰をしてしまった『その後の対処』に焦点を当てた内容です。
実際に当院にお越しの患者さんからいただいたご質問や、LINEなどでお寄せいただくご相談をもとに、
・その対処は正しかったのか?
・これはやってはいけない行動だったのか?
といった点を、Q&A形式でまとめました。
冬場になると毎年のようにぎっくり腰を繰り返してしまう方や、
「ぎっくり腰がクセになっている」と感じている場合は、
最後まで目を通していただき、今後の対処にお役立てください。
また、ぎっくり腰や急な腰痛の影には、
数%の確率ではありますが、命を脅かす病気や即対処の必要性がある外傷が隠れている場合があり、
医療の現場ではこれらを『腰痛のレッドフラッグ』として認識されています。
その点にも少し触れていますので、ぜひご覧になってください。

ぎっくり腰は「なってから」が勝負
ぎっくり腰は、お正月休みや連休中など、
病院や整骨院が休みのタイミングで突然起こることも少なくありません。
「かかりつけの病院も整骨院も休みで、本当に困った」
「ネットで調べて自己流で対処していたら、余計に悪化してしまった」
そんなお話を伺うことも多いです。
実際に、自己判断の処置やセルフケアで炎症を長引かせてしまったり、
治りきらないまま慢性腰痛になってしまったり、というケースもあるんです。
このブログを通して、
・ぎっくり腰の正しい対処法
・ぎっくり腰になっている間の日常生活の送り方
・命に関わる可能性がある腰痛=腰痛のレッドフラッグ
ぜひ、これらを知っていただけたらと思っています。
私自身も過去にぎっくり腰を経験しています。
だからこそ、あのどうしようもない痛みや不安な気持ちを、少なからず「わかり合える者同士」でありたいです。
今このブログをご覧になられている方は、もしかしたらぎっくり腰真っただ中なのかも知れません。
ぎっくり腰は「ならないように予防すること」が大切です。
(※予防については別の記事・動画でも詳しくお話ししています)
ですが、すでにぎっくり腰になってしまった今は、
「どうすれば一日でも早く、少しでも楽に回復できるか」に意識を切り替えていきましょう。
ぎっくり腰の痛みが強い時、体の中では何が起きているのか
後ほどのQ&Aでも共通しますが、
ぎっくり腰の直後から数日間、体の中では「炎症」という火事のような反応が起こっています。
一般的には、発症してから2~3日かけて炎症がピークに向かいます。
それに伴い、以下のような症状が現れています。
・強い痛み
・幹部の腫れや熱っぽさ
・動かしたときの激痛
もともとの血流や代謝が悪い方では、炎症のピークが長引き、鎮まり切るまでに時間がかかることもあります。
これが「治るまで長くかかった」「ずっと尾を引いた」という状態につながると考えています。
また、全身性の肉体疲労を伴っている方がぎっくり腰を起こすことも多く、
体を支えるためのたくさんの筋肉が、脳の指令によって一斉に緊張している状態が起きています。
こういった前提を踏まえた上で、ここからは具体的なQ&Aに入っていきます。
ぎっくり腰を早く治すために、知っていてほしいこと気をつけて欲しいこと

ではここからは、実際にぎっくり腰になってからの正しい取り組みや対処法について、
Q&A方式に解説していきます。
Q1:ぎっくり腰になったら、すぐに病院や整骨院に行くべき?
最も多いご質問が、
「ぎっくり腰になったら、その日にでもすぐ病院や整骨院に行った方がいいですか?」という内容です。
結論からお伝えすると、
・動けないほどの激しい痛みがある
・どう頑張っても起き上がれない、歩けない
という場合は、無理に動いて受診しなくても大丈夫です。
一日~二日ほど様子を見て、少しずつ動きや痛みに余裕が出てきてからの受診で問題ありません。
ただし、後述する「レッドフラッグ」に当てはまる場合や、
強い不安があり、楽な姿勢が全く見つからない場合などは、この限りではありません。
炎症のピークが過ぎ、
「少し動けるようになってきたかな」「昨日よりマシかも」と感じられるようになったら、
整形外科や専門の整骨院・鍼灸院で診てもらうことで、回復のスピードが速くなり、
再発を防ぐためのアドバイスが受けられるといったメリットがあります。
特に「クセになるぎっくり腰」を繰り返している方は、
我慢して放置せず、早めに専門家に委ねることをおすすめします。
実は、
「初めてのぎっくり腰よりも今回のほうが辛い」「ぎっくり腰をやるたびに症状がひどくなっていく」
という声を聞くことは多く、「痛みの消失=治った」という間違った認識から、
繰り返すたびに、ぎっくり腰の根本原因が体の中で増大していることに気付いていないからです。
なので、症状が落ち着いてきたら一度専門家に体を診てもらうようにお願いします。
Q2:湿布は貼った方がいい?どのくらいの期間まで?
次に多いのが「湿布」についてのご質問です。
一般的な湿布には、
・鎮痛(痛みを和らげる)
・消炎(炎症を落ち着かせる)
といった薬効成分が含まれているものがほとんどです。
そのため当院では、
「ぎっくり腰になってから2~3日くらいまでの使用にとどめてください」
とお伝えしています。
それ以上長期間貼り続けても、
炎症のピークを過ぎてしまえば、湿布そのものの効果はあまり期待できません。
にもかかわらず、
「貼っていないと不安」
「効いている気がするから、何週間もずっと貼り続けている」
といった「湿布依存」のような状態になってしまう方もおられます。
ですから、長くても5日間くらいを目安に、一区切りをつけていただくのが良いと考えています。

その後も痛みや動きの制限が続く場合、
原因は「炎症」だけでなく、
・筋肉や関節の機能低下
・バランスの崩れや動き方のクセ
といった部分に関係していることが多く、
ここから先は湿布ではなく「治療・リハビリの領域」になっていきます。
「冷湿布と温湿布は、どちらが正解?」このようなご質問もよく寄せられます。
「冷湿布と温湿布、どちらを使うのが正しいですか?」「使い分けはありますか?」という質問も同様ですね。
実は、どちらを使っても「薬としての効果はほぼ同じ」です。
温湿布には「カプサイシン」という成分が入っており、
皮膚を刺激して「温かく感じる」ようにしているだけで、実際に体の深部を温めているわけではありません。
冷湿布も同じく、ジェルのひんやり感で表面の熱を吸っているだけで、筋肉の奥深くまで冷やしているわけではありません。
その上で、もし使い分けをするとすれば、
発症初日~2日目:冷湿布/それ以降:温湿布
ぐらいの認識で良いと思います。
Q3:お風呂(入浴)は入ってもいい?
続いて「入浴」についてです。
ぎっくり腰の初日や、少し身じろぎしただけで声が出るほど痛い状態のときは、
原則として入浴は避けた方が安全です。
なぜかというと、お風呂に入ると全身の血流が一気に良くなり、
痛めている部分にも勢いよく血液が流れ込むため、一時的に痛みが強くなりやすいからです。
イメージとしては、「傷んだ土地(炎症部分)に、急に川が氾濫したような状態」です。
想像すると、なんだか怖い感じがしますよね。
炎症のピークを過ぎ、少し動けるようになってきた頃からは、
・入浴によるリラックス効果
・本来の血流促進効果
これらが回復にはプラスに働くようになると考えており、私も実体験からそう認識しています。
タイミングを見計らって、無理のない範囲でいつも通りの入浴を再開していただくのが良いと思います。

Q4:ぎっくり腰を一番早く治す方法は?
ここからが、早期回復にとってとても重要なポイントです。
数年前までは、「ぎっくり腰になったら、とにかく安静に」「しばらくは横になって、なるべく動かさない方がいい」
という考え方が主流でした。
ところが、近年の医療研究では、
この「絶対安静」が、必ずしも早期回復にとって良くないことが分かってきています。
今では、『できるだけ早期に、可能な範囲で日常生活動作を行った方が回復が早い』
というのが世界的な常識になりつつあります。
反対に、
・寝ている時間が長くなる
・同じ姿勢でじっとしている時間が増える
こういった生活を送っていると、治りが遅くなるだけでなく、
・筋力低下
・柔軟性の低下
・慢性腰痛への移行
といったリスクが高まることも分かっています。
当院では、少しでも動ける状態であれば、
壁伝いでも、誰かの手を借りてでも、とにかく「立って歩く」ことをお願いしています。
また、「座りっぱなし」「寝転びっぱなし」など、同じ姿勢を長時間続けることもよくありません。
ご自宅でも、30分に一度はその場で立ち上がるよう意識してください。
コルセットや腰痛ベルトの使用も、最大でも5日間程度までと当院ではお伝えしています。
あくまで「動けるようにするための補助」としての使用と考えていただくのが良いと思います。
そして、動ける範囲でいつも通りの生活を送りながら、
専門機関での適切な治療やケアを並行して受けていただくことをおすすめします。
Q5:命に関わる「レッドフラッグ」とは?早急に受診すべきケース
ここまでお伝えしてきた内容は、
主に「筋肉や関節由来のぎっくり腰」を想定した対処法です。
しかし中には、
・骨の損傷(骨折など)が疑われる場合
・神経に重大な障害が起きている場合
・内臓の病気が隠れている場合
など、「命に関わる可能性がある腰痛」が紛れていることもあります。
これを医療の世界では「レッドフラッグ」と呼びます。
ここから挙げる8つの項目に当てはまる場合は、自己判断で様子を見るのではなく、
できるだけ早く病院や救急機関を受診するようにしてください。
1)安静にしていても痛い・夜間痛がある
・寝ていてもズキズキ痛む
・ほとんど動いていないのに、痛みが全く引かない
このような場合は要注意です。単なる腰の筋肉痛とは違うサインの可能性があります。
2)発熱や強い倦怠感を伴う
腰の痛みに加えて、
・発熱が続く
・強いだるさ、倦怠感がある
といった場合は、体内感染や脊椎(背骨)の炎症などが隠れている可能性があります。
3)急な体重減少や、がんの既往歴がある
・特にダイエットなどしていないのに急に痩せてきている
・過去にがん(悪性腫瘍)の治療歴がある
この場合、「癌や腫瘍の骨転移」が疑われることがあります。
4)転倒や強い外傷のあとに出てきた腰痛
・最近転んだ
・交通事故に遭った
・高いところから落ちた
などの強い衝撃を受けたあとに腰痛が出てきた場合には、圧迫骨折や関節損傷の可能性があります。
5)足やお尻のしびれ・筋力低下・排尿排便の異常
・お尻~足にかけてのしびれが強い
・足に力が入りにくい、ガクッと抜ける
・尿が出にくい、便が漏れるなど、排尿排便のコントロールがおかしい
これらを感じる場合は、神経の重大な障害(馬尾症候群など)を疑います。
このような症状が出ている場合は、時間との勝負になることもあります。
6)胸あたりの痛み、背中や腰の変形が目立つ
・腰痛に加えて胸が締め付けられるように痛む
・背骨が急に曲がったように見える
・背中を軽く叩いただけで強い痛みが走る
といった場合には、心臓・腎臓をはじめとする内臓のトラブルが隠れていることもあります。
7)50歳以上で初めての激しい腰痛
50歳以上の方で、
「今まで感じたことのないような強い腰の痛み」が急に出た場合、
骨粗鬆症による圧迫骨折、腫瘍性の病変などの可能性があります。
特に女性は、更年期以降ホルモンバランスの変化で骨密度が低下しやすく、
50代でも骨粗鬆症が進行していることがありますので要注意です。
8)慢性ステロイドの服用や、免疫力が落ちている方
・長期間ステロイド薬を服用している
・免疫抑制剤を使用している
・強い糖尿病などで免疫力が落ちている
このような場合、感染症や骨折のリスクが高くなります。
自覚がないまま背骨や骨盤を骨折していた、というケースもあり得ます。
以上8つが『腰痛のレッドフラッグ』としてあげられています。
頭の片隅に置いておくと、いざという時に役立つはずです。

ぎっくり腰が早く良くなるために「プラスしてほしいこと」
早期回復のために、ぜひ意識してほしいことが、
・こまめな水分補給
・深くゆっくりとした呼吸
この2つです。
水分補給の目安としては、いつもより少し多めに、
1~1.5リットル程度の水分をしっかり摂るようにしてください。
回復の過程で①傷んだ筋肉や関節の修復、②血流の促進、③神経活動の活発化、
これら3つの条件が必須となりますが、これらは水分を材料として機能しています。
冬場はただでさえ体からの脱水が進むので、回復のためにも再発予防のためにも水分補給を心がけましょう。
また、呼吸においては、
『吐く息を「ゆっくりと長く」>吸う息は軽め』このように意識してください。
息を吐くとき、体は自然と緩む方向に働きます。
痛みや不安で体がこわばりやすい時だからこそ「呼吸で力を抜く」時間を意識的に作っていくことが大切です。
おすすめは『4秒かけて息を吸い、8秒かけてゆっくりと息を吐き切る』呼吸方法。
吸うと吐くの比率を、1:2にすることがポイントです。
まとめ:ぎっくり腰は「正しく怖れ、正しく対処」しましょう
ここまでご覧いただきありがとうございます。
ぎっくり腰は「魔女の一撃」とも呼ばれ、
一瞬何が起きたか分からないまま体が動かなくなり、
少しでも動けば、今まで経験したことのない痛みが腰を襲います。
初めて経験された方は、不安と恐怖でパニックになることもあります。
一時的に熱が出る場合もありますし、不安と緊張の連鎖によって体のあちこちが痛く感じることもあります。
ただ、安心していただきたいのは、
・レッドフラッグに該当しない
・間違った対処をしていない
・糖尿病や高血圧、貧血、高コレステロール、慢性的な持病がない
こういった条件が満たされていれば、
あれほどつらかった痛みも、一般的には「2週間ほどあれば消えていく」と言われていることです。
しかしながら、痛みが引いていく過程で、
・かばう姿勢
・無意識のクセ
・緊張と弛緩の差
その他にもさまざまな二次的影響によって、骨格の歪みや筋肉バランスの乱れが生まれます。
また、炎症が起きた部分は柔軟性が落ちやすく、
痛みが消えたからといって「元通りになった」とは限りません。
特に骨格の歪みや姿勢の乱れなど、症状が消えても残ってしまう影響に関しては、
しっかりと専門家に診ていただくことが必要です。
“ぎっくり腰になった”という事実は、
お体のどこかに「ぎっくり腰を起こす原因」が潜んでいるというサインです。
「再発の可能性を減らすこと」
「本質的な原因を見極めて、根本から整えていくこと」
この2つが、とても大切になってきます。
どこに相談すればいい?ぎっくり腰に関する当院の考え
もし、これを機に、
『根本的な改善に取り組みたい』
『繰り返すぎっくり腰をなんとかしたい』
そうお考えの場合には、まずはお近くの信頼できる整形外科やクリニックを受診してください。
ヘルニアや脊柱管狭窄症、背骨の関節変形、股関節の変形など、
他の要素が慢性腰痛やぎっくり腰を招く原因になっている可能性があるので、
それらを正しく検査していただくことが大切です。
そのうえで、柔道整復師や鍼灸師といった国家資格を持つ施術者がいる整骨院・鍼灸院でのケアをおすすめします。
くれぐれも、無資格者の営む整体院、巷のマッサージ屋さんには、お体を任せないようにしてください。
例えば先述の「レッドフラッグ」を知る由もない方々が営んでいます。
取り返しのつかない事故につながる可能性もあり、その後の保証は一切請け負ってもらえません。
「当院へのご相談について」
愛媛県西条市周辺にお住まいの方であれば、
当院でもぎっくり腰・慢性腰痛にしっかり対応させていただきます。
・今まさにぎっくり腰で困っている
・どこに行けばいいか分からない
・近隣で信頼できる整骨院を紹介してほしい
そういったご相談にも、可能な限りお応えいたします。
ご予約・ご相談は、当院ホームページからのネット予約や当院の公式LINEからお気軽にお問い合わせください。
当日のお問い合わせはお電話にて受け付けています。
おわりに
ぎっくり腰は本当に辛い状態ですが、正しく怖がり、正しく対処すれば、
「これをきっかけに体を見直すチャンス」にもなります。
この記事が、今まさにぎっくり腰で苦しんでいる方や、再発に不安を抱えている方々の助けになれば幸いです。
ブログの内容で「ここがよく分からなかった」「こんな場合はどうしたら?」
というご質問があれば、遠慮なくお寄せくださいね。
ブログの内容は以上となります。最後までご覧いただきありがとうございました。

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※施術料金
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もっと当院について知りたい方は、当院ホームページをご覧ください。
特別にご許可をいただいた患者さんとのインタビュー動画もご紹介させていただいております。
関連ブログはこちら
ぎっくり腰を予防するための知識をまとめたブログをご紹介します。

(監修 柔道整復師・鍼灸師 石田将太郎)
