朝、目が覚めた瞬間に、胸の上に何か重いものがのっているような感覚。深く息を吸おうとしても、うまく入ってこない。ちゃんと眠ったはずなのに、疲れが残ったまま朝を迎える——。こういった感覚に、覚えはありませんか?
そして、ネットや雑誌でよく見かける「自律神経の乱れ」という言葉。なんとなく、自分の不調もそれかもしれない、と思っていませんか?
こんにちは。愛媛県西条市のいしだ鍼灸整骨院、院長の石田将太郎(いしだしょうたろう)です。
今日は「胸の重苦しさ・浅い眠り=自律神経の乱れ」と決めつけてしまう前に、一度立ち止まって考えてほしいお話をします。

「自律神経の乱れ」という言葉、便利すぎませんか?
今や「自律神経の乱れ」「自律神経を整えよう」という言葉は、すっかり身近になりました。とても便利な言葉ですが、便利すぎるがゆえに、不調の原因を都合よくそこに当てはめてしまう——そういうことは、ないでしょうか?
情報として頭に入ってしまったために、自分には合っていない健康対策を取り入れてしまう。頑張って取り組んでいるのに体が良くならず、落ち込む。やがてそれが精神面にまで影響して、本当に心身ともに調子を崩してしまう。そんな方も、実際にいらっしゃいます。
ですが、原因は別のところにあるのかもしれません。実際には、呼吸を整えるだけで、長く悩んでいた不調があっさり軽くなっていくケースも、決して少なくないのです。
通院3回目の女性に起きたこと(実際の症例)
先日来られた、50代前半の女性のお話です(ご本人の了承を得て、要点だけご紹介します)。
朝起きた時に、胸に重く何かがのしかかったような感じがして、呼吸がしにくくて心配なんです
こう話してくださいました。不思議なことに、この感覚は起床時だけ。睡眠は浅く、寝ても疲れが抜けない毎日。「自律神経の乱れを治して、以前のように元気な状態に戻りたい」とおっしゃっていました。
ただ、その「自律神経の乱れ」は、どこかで診断されたものではなく、ご自身の推測でした。胸の重苦しさや睡眠の状態から、そう思い込んでおられたのです。
初回の施術では、次のような調整を行いました。
- 胸椎(きょうつい・背骨の胸のあたり)の調整
- 胸鎖関節(きょうさかんせつ・鎖骨と胸骨のつなぎ目にあたる関節)の調整
- 横隔膜と骨盤の動きの調整

そのうえで、ご自宅では「息を苦しいぐらい吐き切る呼吸法」を積極的に行ってもらいました。特に寝る前には「大きく緩やかな深呼吸を5分間」してから休むように、とお伝えしました。
2回目の来院時——「朝起きた時の胸の重さが半分以下になった」「重さというより、呼吸に合わせてザワザワする感じに変わった」とのこと。あの重苦しさが消えて、とても安心されていました。
3回目の来院時——明らかに顔色が良くなっていました。初回の、塞ぎ込むような印象はどこへ消えたのか、笑顔が戻っていたのです。顔色だけでなく全身の血色も良く、気になっていた手先・足先の冷えもマシに。「体が軽い」と教えてくださいました。睡眠中のことなのでハッキリとは分かりませんが、「以前よりよく寝れているように思う」とのことでした。
※体の変化には個人差があります。同じ施術・同じセルフケアで、どなたも同じ結果になるとは限りません。
また、この患者さんの通院ペースは3回目まで週1回の頻度です。
なぜ「吐き切れていない呼吸」が不調を招くのか?
ここでカギになるのが、呼気(吐く息)です。
ここで少し、過呼吸のお話をさせてください。過呼吸をご存じですか? 実は過呼吸になるきっかけは、息を吸い過ぎて吐けていない状態が長く続いたことで起こります。緊張状態や過度のストレス、プレッシャーがかかり続けると呼吸が浅くなり、吐く方がさらに減るために、吸ってばかりになってしまうんですね。
もしかしたら過呼吸を経験された方もいらっしゃるかもしれませんが、あの苦しくて怖い状態、思い出すだけでドキドキさせてしまうかもしれません。「吸う」ことよりも「吐く」ことが、いかに大切かが見えてきます。
私たちは「深呼吸」と聞くと、つい「大きく吸うこと」を思い浮かべます。ですが、しっかり吐けていないと、本来なら外へ吐き出すべき空気が、肺の中に残ってしまいます。これを残気量(ざんきりょう)と言います。
肺に古い空気が残っていると、新しい空気を吸いにくくなります。すると、やがて脳が「何かおかしい」と異常を感じ取り、体を緊張させます。緊張すればさらに呼吸は浅く制限され、胸まわりの関節や筋肉はいっそう硬くなっていきます。
こうなると、起床時に胸のあたりが重苦しくなったり、喉が詰まっているような感覚が出てきても、決して不自然なことではありません。一般的には、こうした状態は睡眠時無呼吸症候群の初期段階と重なる部分がある、とも言われます(ただし、これは断定できるものではありません。気になる症状が続く場合は、医療機関にご相談ください)。

今日からできる、呼吸のセルフケア
先ほどの女性にも実践してもらった呼吸法を、2つご紹介します。
① 日中の「吐き切る呼吸法」
- 苦しくなるまで、息をゆっくり吐ききる
- 吸うときは、楽に入ってくる分だけ。あえて大きくは吸わない
- これを約3分間。1日に5〜10回を目安に
続けていくうちに、吸うときの感覚が変わって、「楽に吸える」感じが大きくなってきたら、それはいい変化のサインです。
② 寝る前の「深呼吸」
- 大きく、緩やかな深呼吸を5分間してから、布団に入る
施術の面では、胸郭(きょうかく・胸椎・胸骨・肋骨でつくられる、肺や心臓を収めた“かご”のような部分)や鎖骨の動きをなめらかにし、横隔膜・骨盤底筋群・腸腰筋の連動性を高めていきます。さらに、呼吸に欠かせない横隔膜をコントロールする「横隔神経」を整えるために、頚椎(首の骨)の3番・4番の調整も大切になります。セルフケアで届きにくい部分は、こうした施術で後押ししていくイメージです。
よくあるご質問(Q&A)
Q. どのくらい続ければ変化が出ますか?
A. 個人差がありますが、まずは1週間を目安に続けてみてください。先ほどの女性のように、早い段階で変化を感じる方もいらっしゃいます。逆に、1週間続けても体になんの変化もない、あるいは少し変化を感じたけれどそこから進まない、という場合は、呼吸をしづらくしている原因が体に潜んでいることが多いです。
Q. 深呼吸って「大きく吸う」ものじゃないんですか?
A. 一般的にはそのイメージが強いですよね。ですが、今回お伝えしたいのは「吐く」ことを優先する呼吸です。吸うことに一生懸命になると、かえって肺に空気が残りやすくなります。まずはしっかり吐ききる。吸うのは、そのあと自然に入ってくる分で十分です。
Q. 病院で「異常なし」と言われたのですが…
A. 検査で大きな異常が見つからなくても、つらい感覚が続くことはあります。呼吸のクセや、姿勢・骨格の歪み、呼吸に関わる神経のはたらきの低下などが関わっているケースもあるためです。まずはセルフケアを試していただき、それでも気になる症状が続くようでしたら、一度ご相談ください。
まずは1週間、試してみてください
「胸が重苦しい」「眠りが浅い」——その原因を、すぐに「自律神経の乱れ」と決めつけてしまう前に、まずは呼吸を見直してみませんか。
上でご紹介した「吐き切る呼吸法」を、1日5〜10回、1回あたり3分間。これを1週間、続けてみてください。
もし1週間続けても変化がない場合や、少し良くなったけれどそこから進展がないという場合は、呼吸をしづらくしている原因が体に潜んでいるケースが多いです(姿勢や骨格の歪み、呼吸に関わる神経のはたらきの低下など)。そのときは、どうぞ西条市のいしだ鍼灸整骨院へご相談、またはご来院ください。
ご予約は、お電話・Web予約からお受けしています。
予約サイトや電話番号のリンク先へうまく移らないなどの場合は、当院のホームページへどうぞ。
あなたの朝が、少しでも軽くなりますように願っています。


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